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 袴田巌さん(82)は11日、当初は弁護団とともに東京高裁を訪れる予定だったが、本人の意向で自宅のある浜松市内で過ごした。

 支援者によると、袴田さんは姉秀子さん(85)と暮らすマンションでいつも通り午前6時ごろ起き、朝食には北海道の支援者が送ってくれたアスパラガスのサラダなどを食べたという。午前中は自宅でテレビをみるなどして過ごし、午前9時ごろに一度、支援者らが上京の意思を尋ねた際には「用がないから。行かないよ東京は」と答えた。

 袴田さんは、市内を数時間歩くことを日課にしている。この日も午後は、支援者の車で母校近くの岩水寺(同市浜北区)へ出かけ、いつものやや前傾姿勢で歩いた。

 午後2時前、トイレ前の如来像に手を合わせ、本尊に向かう途中で支援者から「決定が出た」と聞くとひとごとのように「あー、そーおーう」。支援者が「不当決定を許すことはできない」と伝えると「あー、どうもどうも」と言い、少し早足になった。袴田さんは長期の拘禁生活の影響で、精神をむしばまれている。

 代表取材の記者が「再審決定を認めない判断が出ました」と言うと、しばらく沈黙した後、「そんなのウソなんだよ。ウソ言ってるだけだよ」「事件がねえんだから」といい、せき込んだ。表情はいつもと変わらなかったが、声や受け答えの調子には強い反発がにじんでいたという。

 本堂で手を合わせた後、木陰で少し休んだ。その後、近くの県立森林公園や中瀬招魂社を散策し、支援者とともに高台から浜松市内を眺めた。(阿久沢悦子、宮川純一)