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 14日開幕のサッカーW杯ロシア大会に向けて、日本代表の活躍に県内のファンの期待も高まっている。だが、代表に高知県出身者は選ばれず、これまでも世界で知られた選手はいない。関係者が「サッカー後進県」と嘆く現状を変える取り組みが始まっている。

 5月30日夜、日本代表はガーナ代表と国際親善試合を戦った。高知市のJR高知駅前では、パブリックビューイングが開催され、約230人の観客が大型スクリーンの前で声援を送った。試合は0―2で敗れ、観客からはため息がこぼれた。

 4年に1度、W杯で日本中が盛り上がる中、県内のファンには少し物足りないようだ。高知市の公務員津野拓磨さん(24)は「代表に高知出身の選手がいなくて寂しい」と残念がる。

 県サッカー協会によると、2017年度の県のサッカー人口は6093人。高校生では、サッカーは961人で、県高校野球連盟加盟(硬式)の1096人より100人ほど少ない。

 野球は明徳義塾や高知商など全国区の強豪校がある中、サッカーは全国高校サッカー選手権大会で過去10年間で初戦敗退が8回。最高成績も8強だ。同協会の国沢卓事務局長(72)は「野球とのレベルの差は明らかだ。プロのクラブチームの下部組織など、中学卒業後の選手の受け皿が足りない」と話す。

 Jリーグ広報部によると、Jリーグに今季所属する選手で高知県出身者は1人。都道府県別では最下位という。これまで計13人しかいない。

 スポーツ強化を目指す県は今年度、指定選手や競技団体を重点支援する「全高知チーム」を発足させた。サッカーも指定を受け、指導を統括する「トップコーチ」に元日本代表の西村昭宏さん(59)を招いた。

 サッカー競技レベルを向上させるにはどうしたらいいのか。4月に県の「トップコーチ」に就任した西村昭宏さんに聞いた。

 ――どうすれば高知のサッカーは強くなりますか。

 「まず指導者のレベル向上が必要。今回W杯に出場する北欧のアイスランドがヒントになります」

 ――なぜですか。

 「高知市とほとんど同じ人口約34万人の島国が、ハイレベルなヨーロッパ予選を勝ち抜きました。何かあると考えるのが当然です」

 ――参考にする点は。

 「アイスランドは小中学生の指導者の育成に力を入れています。選手に対する優秀な指導者の割合を増やすことで、選手が効果的に成長できる仕組みです」

 ――高知でもできる取り組みは。

 「例えば今後5年間で、高校生以下の育成年代を指導できるライセンスの取得率を上げ、全国上位を目指したいです。そうすることで、高知の指導者のレベルアップに貢献します」

 ――サッカーを取り巻く環境はどうですか。

 「昨年、黒潮町にサッカー専用施設のフットボールセンターが建設されましたが、高知市内には無いため、多くの選手にとって不便です。高知市内にも必要だと思います」

 ――高知にはJリーグ加盟クラブがありません。

 「やはり、県内にトップレベルをめざせる環境が必要。JFL昇格をめざしている高知ユナイテッドSCにも、今は高知出身選手がいないので、今後出てきてほしいです。ユナイテッドのJリーグ昇格は欠かせないでしょう」

 ――今後の展望は。

「ユナイテッドの監督に就任した際、『高知は野球県ですよ』と言われました。いつか、『サッカー県』と呼ばれる日が来るように頑張っていきます」(加藤秀彬)

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 にしむら・あきひろ 1958年生まれ。現役時代はヤンマーディーゼル(現・セレッソ大阪)に所属し、80~88年は日本代表にも選ばれた。現役引退後は、U20日本代表監督やセレッソ大阪の監督を歴任。2016年から高知ユナイテッドSCの監督を務め、現在はGMとしてチームの運営に携わる。

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