編集委員・中島隆
引きこもりの就職を支援する「人材ベンチャー」、社名は「UZUZ(ウズウズ)」、設立は2012年。この会社には、引きこもりやニートが月に100人ほど、新たにやってくる。
東京の、あるIT会社のエンジニア。20代後半の彼は、充実した日々を送っている。すてきな笑顔で、社内でのコミュニケーションもバッチリ。でも……。
「2年前まで、引きこもりでした」
北海道出身。学者になろうと東京の難関大学の数学科へ。「位相幾何学」を学び、そのまま大学院にすすむ。けれど、研究のテーマ探しでつまずく。教授、先輩、同期、だれにも相談できなかったのだ。「人見知りで話し下手。私の欠点、全開でした」
院生2年の秋。彼は修士論文のテーマ発表会を、すっぽかした。みんなに合わす顔がない。数学への思いは断ち切れない。だから休学、引きこもった。アパートで、ずーっとパソコン。ときおり母が上京し、冷蔵庫を満たしてくれた。
「あのころの私に、『働く』という選択肢はありません。親に何も言われなかったのが救いでした」
親に携帯電話は持たされていた。たまに来るメールはほぼ見るだけ。めったに鳴らない電話が鳴ると恐怖を感じ、鳴りやむのを待った。だれとも話したくないんだ、放っておいてくれ。
だが、彼が就職するきっかけも電話だった。
引きこもって1年半、大学院か…
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