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 三井物産が先月、デジタル技術を事業に応用させる場としてのラボを本格稼働させた。安永竜夫社長の肝いりの取り組みとか。どんなデジタル拠点なのか。早速、潜入してみた。

 「ワンワン」。16ある同社の本部のうち五つが入る都内のオフィスビルの22階。扉を開けて廊下から、部屋に入ると、犬がほえてきた。ソニーのアイボだが、名前は三井の「み」を取って「ミーボ」だ。

 創業者がエジプトに渡った当時の写真や忌野清志郎の写真など、派手な壁紙が目に飛び込んでくる。ここは社員が自由に出入りできるラボ「d.space」だ。室内には、卓球台兼用の打ち合わせテーブルやVR(仮想現実)、AR(拡張現実)の体験機器なども。片隅で3Dプリンターが動き、ほのかにアロマ器具から香りが漂う。音楽もかかっている。

 ユニークなのは、ラボ内に二つある会議室。一つは、活発な議論や発想ができるように、オレンジ色を基調に装飾されたスペースで、その名も火花を意味する「SPARK」。もう一つは、落ち着いて結論を出せるように青色を基調とした内装の「FOCUS」。議論の段階に応じて使い分けるといい、取材時も社員が会議で使っていた。

 モノをインターネットにつなぐ「IoT」やAI(人工知能)の技術の進展を受け、専門の新しい役職「CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)」や専門チームも昨年、新たに設けた。ユニークな会議室をつくったのも、「すべてビジネスのアイデアにつなげるため」(専門チームの松本悠揮さん)だという。

 総合商社が手がける事業は多岐にわたるが、これまでは各事業部がデジタル技術を応用したアイデアを発案しても、相談に乗ることができる人材が社内に分散していた。各部門や子会社の人材を集め、取引先とも連携できる場所として、このラボを新設した。

 1月に別のビルに1カ所目を開設し、5月にオープンしたのは2カ所目。両拠点は常時ネット接続されていて、互いの様子が映像で見えるようになっている。 安永社長は「旧型のビジネスモデルではマネージできない新しいビジネスの芽が多く出てきている。この『実験道場』をいずれは『ITラボ』などの名で、さらに充実した拠点に格上げしたい」と話す。(鳴澤大)