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 中国の家電・技術見本市「CESアジア」が13~15日、上海で開かれている。約500社が参加し、このうちベンチャー企業が100社を超えた。昨年の約70社から大幅に増え、存在感を高めている。

 出展するベンチャー企業は「より使いやすく、より便利なもの」を追求。人工知能(AI)などの新技術を積極的に取り入れ、中には大手に負けない人だかりを見せるブースもある。

 AIベンチャーの寒武紀智能科技のブースでは、小さな黄色い体のロボットが歩いたり踊ったりしていた。子ども向けの教育ロボットで、音声を認識する機能があり、子どもが声で操ることができる。担当者は「子どもが論理的に考える力を養える」と強調する。

 教育ロボの胸に付いた液晶表示で、有名教師の授業が見られる。ゲームに勝つとロボットがどんどん強くなり、敵を倒す娯楽機能も付いていて、子どもが取っつきやすい。

 ほかにも学習や余暇の活動を支援する商品の展示が目立った。音声機能で世界トップクラスの科大訊飛(アイフライテック)は、翻訳機を発表。スタッフが中国語の文章を写真に撮ると、4~5秒後に英訳が画面に表示された。音声を吹き込んで英語や中国語に翻訳することもできる。

 雲従科技はAIを使って顧客の顔を認識し、飛行機のチケットを発券するシステムを展示していた。

 掃除ロボットで日本に進出しているエコバックスのブースでは、「窓のお掃除ロボット」が注目を集めていた。強い吸引力で窓にくっつく。汚れを拭き取りながら上下に動き、端まで来ると自動的に折り返す。CESを主催する全米民生技術協会(CTA)の徐梓琳マネジャーは「海外でビジネスを展開する中国ベンチャーも増えてきた」と話す。

 中国政府はベンチャー奨励策「大衆創業、万衆創新(大衆による起業、万人によるイノベーション)」を進めている。北京や上海、深センといった大都市にベンチャーコミュニティーが広がり、一定の成功を収めた起業家が積極的にベンチャー支援に回る文化もある。米調査会社CBインサイツによると、中国で人気のAI関連ベンチャーによる資金調達額は、2017年に初めて米国を上回った。

 新興企業の勢いに、老舗も負けていない。家電大手の海信集団(ハイセンス)は、画面に映った顔をAIで画像認識する「AIテレビ」を発表。俳優の情報がすぐに表示され、衣装がネット通販で買える。同社の于芝濤幹部はAIテレビ効果で、20年のネットにつながる同社のテレビの利用者数を現在の倍近い6500万台にすることを明らかにした。

 自動運転システム「アポロ」の開発を進める検索大手の百度(バイドゥ)は自動運転車の体験乗車を実施し、自動運転バス「アポロン」や韓国現代自動車との共同開発車のコンセプトモデルを展示した。アポロは20年に高速道路と市街地の道で自動運転を実施することを目指しており、中国じゅうの期待を集めている。

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中国のEVベンチャー「バイトン」の社長に聞く

 電気自動車(EV)の競争が激しさを増す中国。「CESアジア」でも多くのEV企業が出展している。創業から約2年でコンセプトカーを発表し、注目されたEVベンチャー「バイトン」(南京市)のダニエル・キルヒャルト社長に戦略を聞いた。

 ――CESアジアでは、セダン「K―バイト」を発表しました。バイトンの車の特徴は。

 「バイトンのコンセプトは車とインターネットの融合により、『あるべき時間を生み出す』ことだ。車の運転席の前の部分には大きなスクリーンがあり、自動運転中にビデオ通話や動画を楽しめる。機器は身ぶりで操作することができる」

 「2019年に中国で販売を始め、20年に北米や欧州の市場に投入する予定だ。今年1月に米ラスベガスで開かれたCESでコンセプトカーを発表したところ、快適さ、デザイン性、手頃な価格が若者から支持を集めた」

 ――米テスラのライバルと言われます。違いは。

 「テスラの功績は素晴らしいと思うが、テスラのようにスピードには力を入れていない。むしろ走行中の静かさ、快適さ、インターフェースを重視している。若者からの評価が高いのも、『インターネットにつながる車』だからだ」

 「SUV(多目的スポーツ車)やセダンそれぞれに共通の部品を使うことで価格を抑えている。値段は4万5千ドルを考えている」

 ――中国のEV市場についてどう見ていますか。

 「中国政府によるEVへの後押しもあり、とても有望な市場だ。EVの割合はまだ2%程度と低いが、30年には中国車の半分のシェアを占めるようになると思う」

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 〈Daniel Kirchert〉 BMWブリリアンスやインフィニティ・チャイナで営業やマーケティングを担当した後、2016年にカールステン・ブライトフェルトCEOとともにバイトンの製造会社を設立。18年1月に米国で開かれたCESで初のコンセプトカーを発表した。学生時代に南京大学で留学して以来、20年以上中国に在住している。(上海=新宅あゆみ、福田直之)