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 川崎市高津区の東急田園都市線・二子新地駅近くにある民家を拠点に2カ月に1度、「おとなの寺子屋」が開かれている。学びをきっかけに住民らが交流して地域の魅力を高めようと、1年前に始まった。多摩川を隔てた二子玉川エリアが存在感を増すなか、二子新地の将来を心配した土地所有者の男性が、建築会社や住人と仕掛けた試みだ。

 5月26日午後、高津区二子2丁目の民家のリビングに11人が集まった。この家の住人で医療情報システムなどを研究する慶応大医学部助教の平原憲道さん(46)が、AI(人工知能)が変える社会の未来について解説。参加者が意見交換し、夕方からは隣のマンションの中庭で、暗くなるまで懇親会が続いた。

 この「寺子屋」は、平原さんと妻のちひろさん(46)が昨年5月に始め、この日で8回目。これまでのテーマは「AI」「平和学」など様々で、専門知識のある人が講師役を引き受ける。参加者が多いと近くの公共スペースを使う。「建築士になりたい子あつまれ」といった子ども向けの回もあった。

 参加者の年齢層は30~70代、仕事も歯科医、建築士、会社員など幅広い。近所の人が多いが、東京都内から来る人も。会場となるこの民家の大家の木村憲司さん(47)も駆けつける。

 代々、周辺の土地を持ち、隣のマンションも所有・管理する木村さんは、以前から危機感を持っていた。「二子玉川が再開発でにぎわう一方、二子新地は人も車も通り過ぎるだけになっているのでは。子どもたちの代になる頃、この町はどうなっているのか」

 所有するマンションの中庭を開放するなど、住民同士の交流や地域の活性化を試みるなか、購入した隣地も同様に生かしたいと考えた。高津区内の建築プロデュース会社「NENGO(ネンゴ)」の和泉直人さん(40)に相談したところ、「人が歩いて楽しい町になるように1階を飲食店にし、上の住居は地域に開かれた講座を開いてくれる人に貸す」という案を示された。

 木村さんは、ちょうど引っ越し先を探していた平原夫妻を和泉さんから紹介され、寺子屋の構想と民家の建築が動き出した。

 建物は2016年12月に完成。1階はイタリア料理店「ニコ ルーチェ」、2、3階が平原さん夫妻と子ども2人が暮らす住居となった。隣に立つマンションとの壁も取り払った。平原さんは「近所の大人が集まって学び、子どもや町、世の中の将来を考える場として続けていきたい」と話す。

 次回は7月7日。初の「遠足」企画で、平原さんが働く川崎市臨海部の慶応大殿町タウンキャンパスを見学する。今後は、瞑想法の一つで、集中力の向上やストレス対策に効果があるとして企業でも活用する動きがある「マインドフルネス」なども取り上げる予定だ。問い合わせはメール(terakoya@oyabun.net)で。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(上野創)