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 南アフリカで国民的人気を誇る故ネルソン・マンデラ氏が生まれてから7月18日で100年を迎える。アパルトヘイト(人種隔離)政策を廃止に導き、国民の融和に努めたマンデラ氏だが、その理念と現実の差は今も大きい。(ヨハネスブルク=石原孝

 ヨハネスブルク北部にあるビジネスの中心、サントン地区は、建設中の高層ビルが立ち並び、高速鉄道の駅は乗客でにぎわう。富裕層が住むアパートは侵入者を防ぐため高い塀や電線、有刺鉄線で囲まれている。

 そこから南西に約25キロ。旧黒人居住区ソウェトのクリップタウンの一角にはトタン屋根の小さな家が立ち並び、電柱の電線を違法に自宅までつないでいる。

 1990年からここに住むベルナルド・ウグエイオさん(58)は「生活は20、30年前より苦しくなった」。自宅はすきま風が入り、雨漏りがひどい。冬にあたる7月は寒さで上着が手放せない。

 以前は日雇い仕事で生計を立ててきた。今は路上でペットボトルや新聞紙を拾って1キロ3ランド(1ランド=8・3円)で売る。月の稼ぎは多くて200ランド。役所から子ども手当を受け取り、娘2人が有給のボランティア活動をしているが、家族6人を養うには足りない。

 マンデラ氏がアパルトヘイト政策を廃止に導いた時、自分たち黒人への恩恵を期待したが、貧富の差はむしろ広がったと感じる。

富の大半 白人に集中

 政府は格差是正を目指し、2003年に黒人の経済参加促進法「BEE」を制定し、採用や幹部登用で黒人を優遇する企業を後押しした。無償の初等教育や社会保障も充実させた。

 黒人の企業幹部は96年に8%だったのが、15年までに約40%まで上昇。黒人の富裕層は一定程度増えた。だが、権限を持たない黒人の名前を幹部として記載する企業があるなど「BEEは失敗だった」という声もある。

 世界銀行によると、南アフリカは人口の1割が富の約70%を保有し、貧富の差がきわめて大きい国の一つだ。中でも多くの富を持つのが人口の10%に満たない白人。14年に白人家庭の平均年収が約44万ランドだったのに対し、8割を占める黒人の家庭は約9万3千ランド。条件の良い土地や農地の多くは今も白人が所有する。

 失業率も15~64歳の黒人は31・3%で、白人の5・7%との差は大きい。黒人は24歳以下では失業率が5割を超え、大多数が貧困に苦しんでいる。

 世銀は「富裕層ほど教育や就業で恵まれる『機会の不均等』が格差の是正を妨げている」と指摘する。

■続く差別 黒人…

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