[PR]

 欧州中央銀行(ECB)は14日の理事会で、国債などを買って市場にお金を流す量的緩和政策について12月末で終了する方針を決めた。米国の連邦公開市場委員会(FOMC)も13日、年内の利上げ回数の見通しを引き上げた。金融緩和の「出口」に向け大きく前進したが、貿易摩擦の激化などのリスクも多い。ECBは量的緩和終了後の利上げには慎重な姿勢を示し、ユーロは一時、急落した。

 「継続的な景気拡大などに支えられ物価は中期的に段階的に上昇する」。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ユーロ圏の経済回復の力強さに自信を示した。

 ECBが重視する物価動向は、量的緩和を始めた2015年春は物価が下がり続ける状態だった。しかし、今年5月の消費者物価上昇率は前年同月比1・9%と、一時的ながらECBが目安とする「2%弱」になった。

 ECBは、国債などの買い入れ規模について、9月末までは現在の月300億ユーロ(約3兆9千億円)で継続。10月から月150億ユーロに半減し、12月末で量的緩和を打ち切る方針を決定。ドラギ氏は決定が理事会の全会一致だと強調した。

 ただ、ECBは年0%の政策金利について、量的緩和の終了後、少なくとも19年夏までは現在の水準を維持する方針も発表。ドラギ氏は記者会見で「利上げの時期は議論していない」と慎重な姿勢を示した。これを受け、外国為替市場では利上げ期待が後退してユーロが売られ、円に対しては一時、1ユーロ=128円30銭台と、記者会見前から2円ほど円高ユーロ安が進んだ。

 欧州経済を取り巻くリスクも多い。米国が欧州連合(EU)に対する鉄鋼・アルミ製品への高関税措置に踏み切り、EUは米国に対抗措置を取る方針。イタリア政局の不安も金融市場では根強い。ドラギ氏は「世界的な要因に関する不透明さはより大きくなった」と警戒、緩和縮小を慎重に進める方針を示した。(リガ=寺西和男)

ECBが決定した主な方針

・量的緩和政策は9月末までは月300億ユーロで国債などの買い入れを継続

・10月以降は買い入れ額を月150億ユーロに半減し、12月末をもって量的緩和政策を終了

・政策金利は少なくとも19年夏までは現在の水準を維持

・現在ECBが保有する国債で満期を迎えた分は当分の間、再投資して残高を維持