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 米朝首脳会談の成果をめぐり、自民党から疑問が噴き出している。自民党は15日、外交・国防部会、拉致問題対策本部などの合同会議を党本部で開いた。共同声明に北朝鮮の非核化の期限などが盛り込まれなかったことに対し、出席議員から合意の実効性を疑問視する声が相次いだ。

 共同声明では、北朝鮮の非核化について日米両国が求めてきた期限や「完全かつ検証可能、不可逆的な非核化」(CVID)の文言は明記されず、「完全な非核化」というあいまいな表現にとどまった。

 安倍晋三首相は「諸懸案の包括的な解決に向けた一歩だ」として支持を表明。しかし、出席者によると、この日の自民党の会議では「CVIDの中身が全く述べられず、北朝鮮にとって満点の回答だった」「(非核化の)文言はトーンダウンしているのに、CVIDと同じと説明するのは現状を楽観している」などと批判的な発言が目立った。

 北朝鮮の弾道ミサイルに対応するため、政府が導入を決めた陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」への疑問も出た。宮沢博行衆院議員は、米朝対話が進めば日本を取り巻く安全保障環境が変わる可能性に触れ、「イージス・アショアをこのまま続けていくのか」と質問。配備には2基で約2千億円が見込まれるため、「他の防衛装備の取得・開発に大きく影響を与える」と指摘した。これに対し、防衛省幹部は「北朝鮮の具体的な行動を見極めていく」と述べるにとどめた。

 シンガポールで米側との事前協議にかかわった外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は、米朝首脳会談でトランプ米大統領が拉致問題を複数回取り上げたと米側から説明されたことを紹介。一方、出席者からは「拉致問題が解決しない中で北朝鮮に資金を拠出するのは国民の理解が得られない」といった懸念が示された。(清宮涼