[PR]

(15日、イラン1―0モロッコ サッカー・ワールドカップ)

 サッカーは、時として非情な顔を見せる。

 0―0で後半45分を回っていた。追加時間は6分。表示されてから4分余りとなり、スタジアムには引き分けムードが漂ってきた。

 イランの左サイドからのFK。最後のチャンスになってもおかしくない。イランDFハジサフィのキックは弧を描いて、ゴール前へ。モロッコFWブアドゥズがクリアしようとしたが、頭に当たったボールが一直線にゴールに吸い込まれた。ブアドゥズは相手と競り合っていたわけではない。「何が起きたかわからない」。まさかのオウンゴールが生まれた。

 イランのケイロス監督の見方は違う。「この勝利は偶然じゃない。勝つために相手をいらだたせることを考え、実践していた」。試合開始からモロッコに持ち前の力強く、速い攻撃を見せつけられ、イランは防戦一方だった。それでも20分ほど耐えきると、試合が落ち着き、イランのカウンターがたびたび出るようになった。

 その後も、イランはゆっくり選手交代をしたり、けがで試合が止まると再開を遅らせたり。徹底的にモロッコを焦らせた。その成果が、相手の不用意な反則で奪ったFKのチャンスであり、相手のミスによるオウンゴールだった。

 イランがワールドカップ(W杯)で勝つのは20年ぶりで、1998年フランス大会の米国戦以来となる。「90分待っても1秒のチャンスがあれば勝てる。それを就任以来、選手に伝えてきた」とケイロス監督。2011年の就任からの蓄積が生んだ勝利だった。(河野正樹

こんなニュースも