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前園真聖の目(元日本代表)

 ブラジルのサッカーは、先制点を取ってからも2点目、3点目を狙ってたたみかけるのが「らしさ」のはず。スイス戦ではその積極性が見られなかった。

 タレント豊富で個人技でもパスワークでも点を奪える力がある。だが、この試合は後半に入ってもスイッチが入らず、追いつかれてからはネイマール頼みになった。そのネイマールもコンディションが上がっていない印象だ。大会前に手術をした右足のけがへの怖さもあるのではないか。

 ブラジル戦の前には、王者のドイツがメキシコに負けた。前回準優勝のアルゼンチンも初戦でアイスランドと引き分けるなど、強豪が苦しんでいる。その大会の雰囲気が、ブラジルを慎重にさせたと思う。初戦の難しさを改めて感じる一日だった。

 ただ、ブラジルとドイツにははい上がる力もある。優勝候補という評価は変わらない。ブラジルの守りは流れの中で危ないシーンをつくられることはほぼなかった。チームとして欠けていることはない。攻撃でらしさを取り戻せば、1次リーグの残り2試合は心配ないだろう。

 対照的に、引き分けに持ち込んだスイスのアグレッシブな守備は光った。引いて殻にこもるのではなく、前から積極的にボールを奪いに行き、相手に自由にプレーをさせない姿勢はメキシコにも共通していた。これこそが格上の相手との戦い方。19日にコロンビアと戦う日本にとっても、そういうメンタリティーは大事になる。(元日本代表・前園真聖)