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 地中海で約630人の移民・難民を救助した船「アクアリウス号」が17日、スペイン東部バレンシアに入港し、支援のため同乗していた仏NGO「SOS地中海」のスタッフらが同日、記者団の取材に応じた。

 「国境なき医師団」の看護師、フランソワザビエ・ダウダルさんによると、「本国で性的暴行、虐待を受けていた人もいた」という。イタリア政府に入港を断られると、リビアに戻ることを恐れ、海に飛び込んで上陸しようとする人々もいた。

 船員のリュドビック・デュゲペルーさんは9日深夜、おぼれかけた難民らの救助に当たった。「難民らは肉親を失い、船の甲板で暑い日差しにさらされ、トイレや食事の配給に3時間並んだ」。入港の前日は波が穏やかになり、多くの人々が「それぞれ言葉は違うけど、みんなで一緒に歌い、踊り、泣いた」。

 バレンシア州政府によると、難民らの国籍はスーダンやナイジェリアなど、アフリカを中心に31カ国に及ぶ。親のいない未成年者も50人ほどいる。救助後1週間のあいだに出産があり、乗船人数が増えたという。

 難民らはスペイン政府から45日間の滞在許可を与えられ、難民審査手続きに進む。認められれば主にスペイン政府が受け入れる。欧州連合の「ダブリン規則」では、難民が最初に到着した国が審査と受け入れの義務を負うためだ。今回は例外的に仏政府が難民受け入れの分担をスペインに申し出ている。(バレンシア=疋田多揚)