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 判断力が弱った高齢者は詐欺商法に狙われやすい。被害を少しでも食い止めようと、信用金庫のOBたちを集めた団体が成年後見人になり、認知症のお年寄りの財産管理に乗り出す動きが全国に広がっている。

 梅雨寒のある日、城南信用金庫を退職した清水幸雄さん(70)は、介護福祉士や社会福祉士の資格をもつ上田早苗さんと東京・品川の賃貸住宅を訪れた。2人は品川に支店がある5信金が作る「しんきん成年後見サポート」のスタッフだ。6畳一間に住む70代の男性は認知症の傾向がある。

 テレビを凝視する男性に、上田さんが「ワールドカップを見るの?」と話しかける。「私は野球だから……」「どのチームが好き?」「……西鉄。稲尾」

 男性は数十年前に上京し、故郷とは音信不通。病が襲い、生活がままならなくなった。親族に代わって品川区長が家裁に法定後見を申し立て、同サポートが受任した。以来2年半、2人は毎月、男性宅を訪れ、管理する口座から日々使うお金を渡し、薬局に薬代を支払う。病院の送迎もし、世話を焼く。すると、ほとんど会話がなかった男性が言葉を取り戻したという。

 同サポートのメンバーは今、信金OBを中心に総勢26人。累計23人の法定後見を受任してきた。清水さんは認知症の親族の介護を機に福祉に関心を持ち、退職後にスタッフになった。男女ペアで訪問するのが鉄則。認知症の高齢者相手だと「言った、言わない」のトラブルに陥りかねないし、女性の方が話の接ぎ穂をつかむのがうまいからだ。「男同士だと、会話がぎこちなくて」と清水さん。

 同サポートは2015年、城南信金やさわやか信金など5信金を母体にできた。「今後、認知症の高齢者が爆発的に増えます。後見人のなり手の育成とともに、財産管理ができる金融機関と組めたらと考えました」と品川区社会福祉協議会の小佐波幹雄係長。

 団塊の世代が80代にさしかかる25年には、認知症の人が700万人になると推計され、成年後見のニーズも高まる。小佐波さんは信金がその受け皿に、と期待した。「金融機関は内部で牽制(けんせい)しながらお金を管理するからです」

 成年後見人の不正は14年には831件、被害額は56億円余にのぼった(現在は減少)。こっそりお金を流用するのは親族だけでなく、弁護士も。「通帳と印鑑を同一人物に預けたら誰でも魔が差す」と同サポートの吉原毅理事長(城南信金顧問)は言う。

 男女2人一組で動くのは、現金…

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