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 野球部員の減少傾向が続く高校野球界。9人の仲間をそろえるところから四苦八苦する球児たちは、支え合って、白球を追う。

 長野大会開幕まで2週間となった土曜日。北部・坂城の連合チームは、軽井沢との練習試合に臨んだ。昨年の秋以降、3校は連合チームを組み公式戦に出続けた。この夏は、部員が集まった軽井沢が連合チームを離れ、2校で出場する。

 試合では敵味方に分かれても、1年近くの間、練習を共にしてきた仲間だ。試合の前、連合チームを率いる北部の田中学歩監督が「一緒にやって、どれだけ成長したかみせてやろう」と選手を送り出した。

 坂城の長野大会出場は、単独で出場した2015年以来3年ぶり。坂城の唯一の3年生、湯本哲平にとっては最初で最後の夏だ。

 入学したばかりの16年春、部内でいじめが発覚し、春季大会出場を辞退。日本学生野球協会から半年間の対外試合禁止処分を受け、夏と秋の大会にも出場できなかった。

 入学してから一度も公式戦に出られない中、仲間も次々と部を去り、気づくと男子部員は湯本だけになった。処分明け後も、部員不足で2年生の夏まで公式戦に出られず、モチベーションは下がった。グラウンドに顔を出す日は減り、髪を染めて友人と遊んだ。

 転機は、昨年の秋。北部と軽井沢の3校連合チームを組み、公式戦に初めて出ることになった。自分以外は、全員他校の選手だ。練習で、年下の選手が強い打球を飛ばす姿を見て、ショックを受けた。「自分、めっちゃ下手くそだ」。再び野球熱に火がついた。

 連合チームでの活動は、「普段他校の仲間と会えないぶん、より楽しい」という。「ここまで一緒にやってきたから、頑張りたい」

 県高野連のまとめによると、今年度の県内の硬式野球部員数は、昨年度より245人少ない3114人。ここ10年間のピークだった15年度(3657人)から比べると、3年間で約15%減少した。加盟校数は前年度より2校減の87校。うち13校は、男子部員が1、2年生合わせて9人に満たず、3年生が引退した後の秋季大会への単独での出場が厳しい見込みという。

 辰野の主将、上野龍輝(3年)は昨年秋、部存続の危機に頭を悩ませた。他の部員は1学年下の女子マネジャーだけだった。

 苦しいときの上野にとっての支えが、2年生だった昨夏の記憶だった。昨夏の長野大会で、辰野は男子部員4人のほかに他の部などに入っていた3年生9人を集めて夏の大会に出場。全くの素人もいる中、初戦を突破した。「辰野の野球部を、自分の代でなくしたくない」。頑張れば報われると信じて、練習を続けた。

 すると、かつて部を離れた同級生が「人数が足りないなら俺たちも行くよ」と大会の間だけ戻ってきてくれた。春になって新入部員も現れ、なんとか今年の長野大会にも出場できることになった。「支えてくれた人に感謝したい」=敬称略(大野択生)

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