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 岩手県内の野球部で人数不足の問題が深刻化している。今年の秋、3年生が引退すると部員9人未満の学校が3分の1近くを占める見込みだ。他校との連合での出場という選択肢もあるが、合同練習の日数が限られるなど難しさを抱える。

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 6月中旬、水沢農・前沢の連合チームが水沢との練習試合に臨んでいた。青い帽子の前沢・佐藤琢也投手(2年)を、紺の帽子の水沢農の野手たちが支える。

 「バッター振ってくるよー!」。元気に声を掛け合っているが、選手たちは顔合わせをしてからまだ3カ月。両校ともに部員は8人のため単独出場がかなわず、岩手大会は2年連続で連合を組む。

 チームには野手の定位置がなく、頻繁に選手交代する。遊撃手が一塁手に回ったり、投手と捕手が入れ替わったり。学校ごとの練習ではポジションをつけた守備ができないためだ。

 試合での守備位置は両校の監督同士で話し合って決めるため「全員が全部の位置を守れるようにしている」と前沢の菊池健監督。岩手大会では責任教師としてベンチに入る。

 連合を組む相手は春、夏、秋と季節ごとに変わる。夏に向けたチーム結成は3月下旬。守備を確認する合同練習も土日に限られる。水沢農の小野寺莉(らい)主将(3年)は「違うチームが一つにまとまる楽しさはあるが、連係確認が難しい」と話す。チームの指揮をとる水沢農の高橋康博監督は「1校1チームの原則が現実にそぐわなくなってきているのでは」と指摘する。

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 部員不足の広がりはここ数年で顕著になっている。2012年から認められた連合チームは毎年増え、今年の岩手大会では最多の8校が4チームを結成した。

 部員が数人の雫石や大迫は今夏の大会参加を見送り、春に部員が9人だった西和賀は、地区予選で選手がケガで出場できず、不戦敗を余儀なくされた。

 背景には野球人口の減少がある。2017年の岩手県高校野球連盟の登録部員数は2450人と、10年間で約500人減った。母体となる中学野球人口も減少を続けている。県内の軟式部員は17年は2774人で、毎年200人のペースで減少し続けている。リトルシニアも東北の選手数はピークだった11年から1割近く減った。今年2月には米大リーグで活躍する大谷翔平投手が中学時代に所属していた「一関リトルシニア」が選手不足で解散した。

 日本高野連と朝日新聞が今年4~5月に実施した加盟校アンケートでは、部員数が「10人未満」と回答した学校は県内で10校と、全体の1割強を占めた。強豪校には100人近い部員が集まる一方、部員不足の学校が増える「二極化」も進んでいる。

 3年生が引退した後の今秋の大会では部員が9人に満たない高校が20校近くに上る見込みで、東北では最も深刻な状況だ。県高野連の関係者は「高校の統廃合が遅れていることも1校あたりの部員が少なくなる要因」と指摘する。

 22日の岩手大会の抽選会後、県高野連は選手が秋に9人未満になる高校の指導者を集め「顔合わせ会」を開いた。佐々木明志理事長は「高野連が仲介し、できるだけ地域性を考慮した組み合わせにできるようにする」と説明したが、高野連によると、連合チームが増え続けると地区予選のチーム数が減り、地区の見直しや予選そのものの廃止も検討する必要があるという。

 少子化や野球離れを受け、日本高野連と朝日新聞社、毎日新聞社は5月に「高校野球200年構想」を発表。都道府県ごとの協議会の設立や子ども向けの野球教室の開催、選手生命を守るためのけが予防の推進といった事業に取り組むとしている。(加茂謙吾)

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