投じた私財100億円 永守氏が挑む「二足のわらじ」
辻森尚仁
永守の野望(下)
「欧米では新入社員は即戦力。日本の大学生は一流、二流、三流に関係なく、卒業してもほとんど即戦力にならない」
4月1日、演壇上の永守重信(73)を見つめ、話を聞くのは、日本電産の新入社員ではない。京都学園大に入学する、約900人の学生だった。
永守は今春、同大学の理事長に就任した。100億円以上の私財を寄付して、運営にも口出しをする。
来年春には大学名を「京都先端科学大学」に変える。モーター関連の技術者を養成する大学をつくるのが、永守の長年の夢だった。自らあたためてきた大学名を入学式で披露し、こう続けた。
「何年か先には、この大学の卒業生を欲しいという企業が大勢出ますよ」
永守の自信は、日本のものづ…