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 北海道北部の利尻島で5月下旬に106年ぶりにフンなどヒグマの痕跡が見つかり、林野庁が島内に設置した固定カメラが今月15日夜、林道を歩くヒグマを撮影した。姿が確認されたのは初めて。

 島内では5月下旬から各所で足跡やフンが見つかり、林野庁・宗谷森林管理署が11日、夜間も自動撮影ができるカメラを島南西部の国有林内に4台設置。18日にデータを確認したところ、15日午後10時40分、林道を移動するヒグマの姿が写っていた。今後、背後に写る草の丈から、ヒグマの体の大きさを調べる。

 この時期はヒグマの繁殖期。対岸の稚内市から最短で約20キロあるが、現地調査をした道立総合研究機構・環境科学研究センターの間野勉・自然環境部長は「オスの成獣で、交尾する相手を求めて泳いで渡ったとみられる。メスがいないことがわかれば本島に戻る可能性もある」とみている。

 ただ、日中の目撃がなく、住宅地での痕跡もないことから、間野さんは「いまは野草を中心に食べているようだ。行動も夜にしているようで、非常に警戒心が強い」という。今のところ、島では住民生活や観光に影響を及ぼす問題行動が見られないため、地元自治体は駆除には慎重だ。

 日常的にヒグマの目撃や痕跡情報がある本島と違い、島民にとってヒグマは初めての体験。島ではクマよけの鈴や撃退スプレーが売られ、小学校では教員による登下校時の通学路での見守りが続く。本格的な登山シーズンを前にした利尻富士登山の安全祈願祭では、クマよけの祈念もするなど、「ヒグマ騒動」は続いている。(奈良山雅俊)