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 第76期将棋名人戦七番勝負は、佐藤天彦(あまひこ)名人(30)が3連覇を果たして幕を閉じた。史上初の6者プレーオフを勝ち抜き、4度目の復位を目指した羽生善治竜王(47)の挑戦を4勝2敗で退けた。先手番の3局をすべて勝つなど安定した戦いぶりが光った。

 2度目の防衛戦となった今期は、第4局まで互いに先手番を制するシーソーゲームとなったが、第5局を後手番で勝つと、第6局の先手番で激戦を制してシリーズを終わらせた。第5局まで勝った対局はすべて快勝。いずれも優位を築いて押し切るという内容で、羽生竜王は持ち時間が残っていたにもかかわらず、投了に追い込まれた。

 昨年度は名人を防衛するも勝率4割5分と負け越すなど、決して成績はよくなかった。対する羽生竜王は竜王位を奪還し、A級順位戦の6者プレーオフを勝ち抜くなど上り調子。3連覇を危ぶむ声もあったが、開幕前に佐藤名人は「将棋に対する興味もしっかりあって勉強もできている。調子は悪くない」。第1局に負けた時にも「敗れはしたが、内容のよい将棋が指せた」。冷静に自分の状態を見極め、自信を持って七番勝負に臨んでいた。

 国民栄誉賞を受賞して注目される羽生竜王と戦うことについても「アウェー感があるかもしれないが、やりがいもある。人生でそういう出来事は多ければ多いほど面白い」と、逆風さえ楽しんでいるようだった。日本将棋連盟会長の佐藤康光九段(48)は「勝った将棋も負けた将棋もしっかり分析し、糧としている。余裕を感じます」と言う。

 年齢的には活躍めざましい藤井聡太七段(15)と羽生竜王の中間の世代に位置する。「将棋界の歴史で最上位クラスの天才と言われる人たちと、自分がいい状態の時に戦えるのは幸せなこと。それは年下相手でも同じ。棋士人生という観点からすると恵まれていると思う」と話す。

 名人3連覇は、13連覇の故大山康晴十五世名人を筆頭に過去5人しかいない。いずれも通算5期以上獲得して「永世名人」となり、一時代を築いている。今回の勝利は大きな一歩となった。(村上耕司)

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〈羽生挑戦者の話〉

 (今回の七番勝負は)一進一退という感じでした。ちょっと、後半の(対局の)方が内容的に悪かった感じです。(名人戦七番勝負は)非常に長丁場なので、全体的に内容を上げていくのが大事なのかな、と思いました。