5月24日、沖縄県の最南端、波照間島の唄者(うたしゃ)が亡くなった。後冨底(あとふそこ)周二さん。61歳だった。

 島を訪れる観光客向けに「星空ライブ」を催し、県外でも時折演奏した。魂の叫びのような荒々しい唄と、人なつこい笑顔。島の節回しや歌い方にこだわった。「波照間の周ちゃん」と呼ばれ、愛された。

 島での暮らしを大切にしていた。先祖を供養し豊作と安全を祈願する伝統行事ムシャーマの継承に力を注ぎ、40年近く地謡を務めた。県外へのライブツアーはサトウキビの農閑期だけ。牧畜を始めると「牛に農閑期はない」と、県外にあまり出なくなった。八重山民謡には昔から農作業の合間に歌われたユンタなどの労働歌がある。周二さんも力仕事をしながら歌い、生活に唄が根づいていた。

 普段は無口で人見知りだが、心を許した相手とはとことん飲み、語り合った。

 東京・高円寺の沖縄料理店「抱瓶(だちびん)」の高橋貫太郎社長(52)もその一人だ。「本当に野生児で、波照間の歌い方にこだわった人。友は人生の宝、というのが口癖でした」

 社員研修で島を訪ねると、野生のヤギを素手で捕まえ、調理してくれた。高橋社長が1人で訪ねた日の夜は、牛が急に産気づいた。「貫太郎、押さえろ」と命じられ、2人がかりで牛を柵に縛りつけて子牛を引っ張り出した。生まれたのは雌だったが、「貫太郎」と名付けられたという。

 2002年7月以降、周二さん…

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