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 福島第一原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力旧経営陣3人の第18回公判が20日、東京地裁であった。事故前、社内で津波対策を検討する部門横断組織に関与した社員が証人として出廷し、同原発を15・7メートルの津波が襲った場合、「非常用設備は機能を維持できない」という意見が社内から出ていたと証言した。

 社員によると、検討組織は2010年8月に立ち上がり、国の専門機関による地震予測を受けて東電子会社が算出した、15・7メートルの津波が起きた場合の対応などを検討した。社内からは「計器類も動かない」といった危機感が寄せられ、「解決方法を考えろと怒った」上司もいたという。

 11年3月の東日本大震災では実際、津波で非常用電源などが壊れ、全電源を喪失したことが事故につながった。ただ、社員は「津波の規模や方向が想像と全然違った。対策をしていても、防げなかったと思う」と述べた。

 事故をめぐっては、社内で15・7メートルの高さを前提とした津波対策が検討されながら、原子力・立地本部副本部長だった元副社長、武藤栄被告(67)の指示で08年7月に先送りされたことが明らかになっている。社員は先送りについて「経営判断には従うしかないと思った」と証言した。(杉浦幹治)