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 夏、全国選手権大会が始まると、この雑誌を片手に阪神甲子園球場のスタンドで観戦する人も多く見かける「週刊朝日 甲子園大会号」を、58年分集めている人がいる。山口県下関市の会社員、井上正道さん(66)だ。母の郁子さんが買い続けていたのを引き継いだ。第100回記念大会の今夏、特別なコレクションが加わるのを心待ちにしている。

 甲子園大会号は各代表チームごとに、担当記者による詳細なリポートや各選手の地方大会での成績、身長、体重、出身中学を紹介している。注目選手のグラビア、過去の大会の記録も掲載し、熱心な高校野球ファンにとっては欠かせない「観戦のお供」になってきた。

 子どもの頃から学生野球が好きだった郁子さんも、毎夏、欠かさず買っていた。いつから買い始めたのか定かではないが、井上さんは1960年代の前半、当時住んでいた高知市の高知商や高知が選手権大会に出場したことがきっかけではないかと推測する。

 成長すると、郁子さんから甲子園大会号を買ってきてと頼まれるようになった井上さん。自身は学校で野球部に入らなかったが、ひたむきに白球を追う球児たちの姿に魅せられた。社会人になってからは、頼まれなくても自分で買いに行くようになった。

 収集欲が高まり、40代になったころには全国各地の古本屋に問い合わせて、郁子さんが買い始める前の甲子園大会号も購入し始めた。週刊朝日だけでなく「アサヒグラフ」の高校野球号や、春の選抜大会を特集した雑誌も集めている。郁子さんから引き継いだものを含めて合計約180冊にもなるという。

 昨夏、体調を崩して入院していた郁子さんへのお見舞いに、井上さんはその夏の甲子園大会号を持って行った。だが、郁子さんは昨年末に亡くなった。井上さんの頭には「雑誌を集めるのは、もういいかな」という考えがよぎった。

 それでも、この夏もやはり書店に足を運ぶつもりだ。「年間の恒例行事になっている」と笑う井上さん。毎年夏が近づくと雑誌の発売日を確認してしまう。「やっぱり夏は甲子園大会号。ここまで来たからには、買える限りは買い続けたい」(藤野隆晃)

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