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 社会主義者らが不当に弾圧された明治末期の「大逆事件」で無実の連座をし、獄中自死した真宗大谷派僧侶、高木顕明(1864~1914)をしのぶ遠松忌法要が23日、高木が住職をしていた新宮市大橋通4丁目の浄泉寺で営まれた。

 法要の副題は「前(さき)を訪(とぶら)う~今、この時代に聞く非戦・平等の願い」。集まった同派解放運動推進本部の関係者や門徒、市民ら約100人は、日露戦争が始まった1904年に高木が記した「余が社会主義」の朗読に耳を傾け、「極楽世界には他方之(の)国土を侵害したと云(い)う事も聞かねば、義の為に大戦争を起こしたと云う事も一切聞かれた事はない。依(よ)って余は非開戦論者である」の言葉に非戦平和の思いを新たにした。

 法要後、同派三重教区・金蔵寺の訓覇浩(くるべこう)住職が「五濁の世に人として生きん~顕明師の悲願への呼応」と題して記念法話をし、参列者に「(大逆事件を)冤罪(えんざい)と捉えると本質を見失う。これは紛れもない弾圧事件。国家によって必然的に捕らわれたのであって、ミステイクではない」と語りかけた。

 この遠松忌法要は、事件を受けて高木を宗門から追放し、96年にようやく名誉回復を図った真宗大谷派が、その反省に立って2000年から毎年催している。遠松は寺の山号であり、高木の俳号でもある。(東孝司)