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 繊維商社と食品会社などがタッグを組み、ちょっと変わった染料を開発した。野菜やみそ、サツマイモ……。商品を作る際に使わない部分を使い、Tシャツを「地域の色」に染めている。

 この試みは繊維商社「豊島」(本社・名古屋市)が手がけた。プロジェクトリーダーの谷村佳宏さん(34)が4年前、食品メーカー「キユーピー」の関係者から「野菜を切ったとき、皮や芯が結構出る」と聞いたのがきっかけ。袋詰めサラダを生産するキユーピーのグループ企業では、キャベツだけで年間約3800トンの切れ端があるという。

 谷村さんは食材から染料を作る技術を持つ会社と付き合いがあり、野菜くずで染料を作ろうと思いついた。2015年、小売店向けに試作したキャベツやレタスを使って染めたTシャツなどが好評で、本格的なプロジェクトとして取り組んだ。

 アパレル業界は格安商品を置く小売店の台頭でデフレ化が進む。勝ち抜くために、「付加価値」を重視しているという。豊島では少数生産で限定品としての展開も考えており、谷村さんは「地域の食材で染めた製品なら地域の色ともいえるのでは」と話す。

 プロジェクトに協力した岐阜市の油問屋、山本佐太郎商店は1876(明治9)年創業の老舗だ。岐阜の伝統工芸で和紙に油を塗る油紙に使う油などを扱ってきた。12年からは、小麦粉やサツマイモなどを揚げたかりんとうも作る。そのときに出る芋の切れ端を使ったTシャツは紫色に染まった。「岐阜の店では、Tシャツを新しい岐阜のおみやげとして扱ってもらった。全国に岐阜を発信したい」と山本慎一郎社長(43)。

 今井醸造(本社・愛知県西尾市)は、風味が強すぎて食用に向かない部分のみそを提供した。たるで約2トンのみそを造ると、上部に20キロほどできる。社長の今井大輔さん(39)は「面白い、そんなことができるんだ」と思い参加。食べ物を捨てることが嫌いだという。完成したTシャツはベージュ色だ。

 Tシャツ販売は、雑貨店「オンセブンデイズ」(本店・同県豊川市)が担った。前面に染料の原材料をフランス語で加え、「メッセージTシャツとしてのデザインにもこだわった」。5月から販売し、客からは「食品で染められていると安心感がある」との声も寄せられた。みそ・サツマイモなど4種類の染料を使ったTシャツを350枚ずつ用意し、1枚3200円(税抜き)で販売。みそが一番人気だ。

 Tシャツの買い付けを担当したオンセブンデイズの運営会社アイレクスリテイルの入谷成美さん(28)は「色見本を見たとき、こんな色になるんだと驚いた。お客さんにも驚きを感じて欲しい」と話す。

 同社は東海地方に計14店舗を展開。担当者は「地元の人から『この店に行きたい』と思ってほしい。地域密着型を意識し、染料の提供先も東海の人気店から選んだ」と説明する。売り切れしだい販売は終了するが、地元に根ざした企画を続けていくという。

 Tシャツの問い合わせ先は同社(0533・80・2312)。染料は豊島(03・4334・6042)。(申知仁)