息子の名は拓海です…自殺4年後公表の母、涙で「戒め」
野崎智也
「息子の名前は田中拓海です。鹿児島県立武岡台高校です」。今年4月、母(56)は記者会見で、声を震わせながらも覚悟を決めた様子で、自殺した拓海さんの氏名と写真を初めて公表した。息子の死から4年たって決断したのはなぜなのか。その思いを、母に単独取材で聞いた。
県いじめ調査委員会の報告書などによると、鹿児島市の同高1年だった拓海さん(当時15)は2014年8月20日夜、自室で自殺を図った状態で見つかった。15年3月、母の依頼を受けて同高が生徒にアンケートを実施。「かばんに納豆を入れられていたというのを聞いた」「スリッパを隠されていた」「葬式のトイレで、『ばれたらやばくない』と話しているのを聞いた」などといじめをうかがわせる記述があった。
だが、県教育委員会が設置したいじめ調査委は17年3月、「いじめがあったとは断定できない」とした。
納得できない母の申し入れで、県は知事部局で第三者委員会を設置し、再調査のための初会合を今月24日に開く。
先月下旬、拓海さんが亡くなった自宅を訪れた。卒業アルバムの写真や、家族に囲まれた写真。拓海さんはどれも笑顔だった。
母はそれらを、「公表して報道されれば、この子の死を改めて目の当たりにさせられるような気がした」と公にしてこなかった。
それなのになぜ今年、公表したのか。
「納得できる調査が行われて…