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 優生保護法に基づく強制不妊手術を受けた聴覚障害者が静岡県内に少なくとも12人いることが、静岡県聴覚障害者協会の調査でわかった。手術を受けた県内の個人の特定は初めて。同協会は24日、御前崎市民会館で県ろうあ者大会を開き、強制不妊手術の真相解明を求める特別決議を採択した。

 調査は4月に開始し、これまでに中絶を含む強制不妊手術を受けさせられた聴覚障害者12人(男性3人、女性9人)を特定した。また、県立静岡聾(ろう)学校で1953年まで校長を務めた男性が、保護者らに「結婚式の仲人を引き受ける条件」などとして、手術を強く勧めていたこともわかった。校長の関与を証言したのは7人で、うち県西部の90代男性は不妊手術を、県中部の70代女性は中絶手術を受けたという。

 特別決議では「子どもを守る学校が『ろう』は劣るものと決めつけ、教育主導で強制不妊手術を推奨したことは大きな衝撃で看過できない」とし、引き続き調査を徹底するとしている。

 県衛生年報などによると、県内では本人の同意なく746件の手術が行われたとされるが、個人につながる公文書は保存期間を過ぎ、廃棄されたとみられるという。(阿久沢悦子)

「昔だったら…」

 特別決議の採択後、2人の聴覚障害者が取材に応じた。

 静岡市駿河区の山本寛子さん(39)は、ろう者の夫との間に3人の娘がいる。小2の長女にも聴覚障害がある。「昔だったら私は産んだらダメだったのか、とものすごくショックを受けた」。耳の聞こえない義母からも、障害者の出産に反対する風潮があったと聞いた。山本さんは「子どもを産みたい、欲しいという人が学校に命令されて手術されて……苦しかった時代が長く続いた」と指摘した。

 強制不妊手術を受けた人らへの聞き取り調査に同行した浜松市天竜区の伊藤行夫さん(67)は「憲法で人権が保障されているのになぜこんな差別的な法律ができたのか、疑問をもってきた。特別決議の採択でもっと世の中を喚起したい」と訴えた。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(宮廻潤子)