[PR]

 弾圧に耐え、守り抜いた信仰の足跡が、世界の宝として認められた。30日、バーレーンの首都マナマで開かれたユネスコ世界遺産委員会で、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産への登録が決まった。長崎で、熊本・天草で、ゆかりの人々は喜びの声を上げた。

 構成資産の一つ「外海(そとめ)の出津(しつ)集落」と「外海の大野集落」がある長崎市外海地区。かくれキリシタンの信者組織の代表、村上茂則さん(68)は「世界に誇れる遺産として認められた。先祖も喜んどると思う」と語る。

 かくれキリシタンは禁教令が解かれた後もカトリックに復帰せず、潜伏期の信仰形態を維持した人々。今も長崎県内に組織が残る。

 組織の指導者「帳方(ちょうがた)」を務めた家系で、07年に継いだ。村上さんの「組」は近隣の二十数世帯、50人ほどで減少する一方だが、「命ある限りは守っていくつもり」だという。「先祖は弾圧を受けても信仰が間違いではないと信じて続けてやってきた。必死になってつないできたものを途絶えさせたらいかん」

 世界遺産の構成資産は禁教期のもので、「かくれ」の文化は含まれないが、登録決定は祈りの言葉「オラショ」とともに先祖に報告する。脚光を浴びることには複雑な思いもあるが、「これまでやってきたように静かに祈る。それは変わりません」。(山野健太郎)

     ◇

 〈潜伏キリシタンとかくれキリシタン〉 一般に、江戸時代の禁教下でひそかに信仰を守り抜いた人々を「潜伏キリシタン」、明治になって禁教が解かれた後もカトリックに復帰せず、潜伏期以来の儀礼や行事を守り続けてきた人々を「かくれキリシタン」と、便宜的に呼び分けている。「かくれ」「隠れ」「カクレ」など表記は研究者によって異なる。