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 大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震で、高槻市などで起きた断水は、50年以上前に敷設された老朽化した水道管の破断が原因だったことがわかった。大阪府は老朽管の割合が全国で飛び抜けて高い。政府は水道管の更新工事を進めるため、水道法改正案を今国会に提出しているが、人口が密集する都市部のライフラインが抱える課題が、地震によって改めて浮き彫りになった。

 「水が噴き出して、辺り一面に水浸しだった」

 高槻市下田部町2丁目の水道管が破断した、現場近くにある葬儀場に勤務する女性(43)はそう語った。震災の発生直後、陥没した道路から茶色く濁った水が「ゴー」という音を立て勢いよく噴き出した。道路は川のようになり、水は葬儀場の前まで押し寄せた。警察官から避難を促され、葬儀場の利用者らと移動。夕方に戻った際には水は止まっており、復旧作業が始まっていた。女性は「ほかにも古い水道管が地震で破裂するかもしれないと思うと不安です」と話した。

 大阪市を除く42市町村に水を供給する、大阪広域水道企業団によると、府内で破断した水道管は、高槻市で1963年、吹田市で65年に敷設された2本。いずれも耐震化されていなかった。府環境衛生課によると、2本が破断した結果、高槻市では最大約19万3800人(一部断水含む)、箕面市で約1万9千人が断水の影響を受けた。

 水道管の耐用年数は、法令で40年と定められている。日本水道協会の統計(2015年度)では、40年を超えた老朽管の割合は全国平均が13・6%。一方、府では、企業団が管理する水道管の老朽管率は58・9%と、全国平均を大きく上回る。

 市町村が管理する分を含めても、府の老朽管の延長は6890キロ、全水道管に占める割合は28・3%と、どちらも全国ワースト1位。同2位となる愛知5995キロ、神奈川21・7%を大きく上回る。府によると、大阪は歴史的に都市化が早く、高度成長期を中心に水道管の敷設が早く進んだためという。

 老朽管率が44・9%(16年度)の大阪市では、全体の約7割が耐震化していない。今回は断水など大きな影響はなかったが、市は南海トラフ巨大地震に備えて今年3月、耐震化を促進するために緊急計画を策定。今年度から10年間で1900億円かけて約1千キロの耐震化を進める。担当者は「優先度の高い、耐震化していない管を更新する工事のペースを上げたい」としている。

 大阪だけでなく、老朽管を耐震性のある水道管に置き換える更新工事は、十分に進んでいない。人口減少による水道料金の収入が落ち込むなか、水道料金の値上げには住民の強い反発も予想され、更新が追いついていないのが現状だ。

 水道事業の不安定な財政基盤は防災対策にも直結する。東日本大震災や熊本地震でも長期間の断水が発生。水道法改正案ではこうした現状も踏まえ、都道府県に対し、複数の市町村で事業を管理する「広域連携」を進めるよう促す内容などを盛り込んだ。

 東京大学大学院工学系研究科の滝沢智教授(都市水システム)は「水道管の老朽化は、古くから水道事業を続けてきた大都市に共通した現象。給水上重要な基幹管路から優先的に、更新工事を進めなければならない」と指摘する。一方、更新工事には大きな費用負担が伴う。滝沢教授は「経済性とのバランスを取りつつ進める必要がある。広域化や官民連携によって事業の効率化を図る水道法の改正に期待したい」と話す。(嘉幡久敬、楢崎貴司、古田寛也)