無派閥の「菅派」、忠誠乱れず「捨て犬同然の自分を…」
今野忍
昨年9月、自宅でシャワーを浴びていた三谷英弘の携帯電話が鳴った。画面には見覚えのない番号が示されている。
「菅です」
電話の主は官房長官の菅義偉だった。「飯食おう。出て来られるか」
衆院解散4日前。当時41歳だった三谷は、みんなの党で衆院議員を1期務めた後、2014年衆院選で落選していた。名刺交換した程度の関係だった菅の電話に驚いた。「なぜ自分を呼び出すのか」
首相官邸に近いホテルの和食店。菅の目の前で冷やしうどんをすすっていた三谷は、菅の言葉にもう一度驚く。
「うちから出ないか」
自民党公認候補としての立候…