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(25日、スペイン2-2モロッコ サッカー・ワールドカップ)

 「1位通過できてうれしい」と言いつつも、この日の最優秀選手に選ばれたスペインMFイスコに笑顔はなかった。浮かない表情なのは、攻撃が機能しなかったからだ。

 スペインのボール支配率は69%と相変わらず高い。ただ、引いて守るモロッコの守備陣を崩すには、得意のパス回しに物足りなさが残った。イスコ自身も「うまく支配できていなかった」と認める。

 失点につながるパスミスをしたとはいえ、チームで唯一、攻撃のアクセントをつけていたのがイニエスタだった。相手の守備の間に顔を出し、パスを受ける。ゴールに向かってドリブルを仕掛け、相手のマークがずれたところで急所にパスを出す。縦横無尽に動いてチームの潤滑油になっていた。

 ただ、イニエスタは序盤こそトップ下でプレーしていたが、試合が進むにつれて最終ライン近くまで下がり、試合の組み立てに参加するようになった。前線にボールが配球できないことを見かねてのプレーだが、これで前線の迫力は明らかに低下した。

 スペインが後半追加時間まで追いつけなかったのは、イニエスタに代わり、組み立てる選手がいないからだろう。34歳になってもなお、その存在感は大きい。(河野正樹