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 安倍政権が最重要とする働き方改革関連法案の審議が大詰めを迎えた。26日の参院厚生労働委員会で野党は安倍晋三首相に、法案は過労死を招くと訴えたが、議論は平行線。与党が採決強行の動きを見せたため、野党は加藤勝信厚労相の問責決議案を提出した。

 「総理は働く者のための制度と言ってきたが、実は企業のための企業による制度ではないのか」

 首相が出席して質疑が行われた26日の参院厚労委では、野党が「長時間労働を助長する」と批判して最大の対立点となっている、年収1075万円以上の一部専門職を労働時間に関する保護から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」に質問が集中。立憲民主党の石橋通宏氏は、政府が高プロの導入理由として説明してきた「働き手のニーズ」を改めて問いただした。

 厚労省は当初、ヒアリングした当事者12人全員が求めたことを根拠としていたが、実際は制度案が固まってから後付けで実施したことが明らかになっている。首相は、経済人らの意見が制度のもとになったと認めつつも、「適用を望む企業や従業員が多いから導入するものではなく、柔軟な働き方の選択肢として整備する」と述べ、「ニーズ」への追及をかわそうとした。

 「成果で評価される働き方に」との政府の説明も、野党は「法案には書いていない。ごまかしだ」(石橋氏)と指摘。首相は「時間と成果との関連性が通常高くない業務に対象を限定している。具体的な報酬額は個々の労使によって決められるべきもの」と、これまでの説明を繰り返すにとどまった。ほかにも従来の答弁を繰り返す場面が目立ち、野党から「総理に来てもらう意味がない」との批判も出た。

 高プロ撤回を求める過労死遺族の面会要請に応じていないことについては、遺族から送られた書面は「そのものを見ているわけではない」と首相が明かす一幕もあった。野党が「誠心誠意ご遺族の気持ちに寄り添って意見を聞くことをなぜしないのか」(国民民主党・浜口誠氏)とただしたが、あくまで法案を担当する厚労相が対応するとの姿勢を変えなかった。共産党の倉林明子氏は「(遺族に)会って説明できない法案は撤回しかない」と指摘した。(贄川俊

野党の足並み焦点

 26日夕、参院厚労委で法案に関する質疑が終わった後、与党筆頭理事を務める自民党の石田昌宏氏が動いた。野党筆頭理事の小林正夫氏(国民民主党)に近づき、「採決をします」と声をかけた。

 「もっと審議をして」。野党議員が叫ぶ中、小林氏が「問責決議案を出しました」と発言。委員会は散会になった。

 野党側は与党が採決に踏み切ることへの警戒感を高めていた。採決をどう阻止するか。加藤氏に対する問責決議案を出す方針は26日午後、野党の国会対策委員長が確認していた。問責決議案は通常、法案審議よりも優先されるため、26日の採決は見送られた。

 ただ、与党は27日の参院本会議で問責決議案を否決し、28日の参院厚労委で法案を可決。29日の参院本会議でTPP関連法案とともに成立させる方針だ。

 野党の対抗手段は限られる。立憲民主党が主導した衆院では、重要法案の採決前に委員長の解任決議案を提出し、採決を遅らせることに成功した。だが、参院の野党第一会派は「国民民主党・新緑風会」で、同様の戦術を採るとは限らない。舟山康江国対委員長は厚労委員長の解任決議案について「委員会の運びで問うべき瑕疵(かし)があったとは思えない」。TPP担当の茂木敏充経済再生相への問責決議案についても「法案に反対だからすべて問責で対抗することが適切なのか」と後ろ向きだ。

 今後の審議では与野党の攻防に加え、野党の足並みがそろうかも焦点になる。(河合達郎、久永隆一)

TPPも大詰め

 政府が早期の発効を目指す環太平洋経済連携協定(TPP11)の審議も大詰めを迎えている。「我が国のGDP(国内総生産)を8兆円押し上げ、46万人の雇用につながる」。26日、TPP関連法案を審議中の参院内閣委員会で首相はそう強調した。

 TPPそのものの承認案は13日にすでに国会で成立。農畜産物への補助金などを盛り込んだ関連法案の成立で国内手続きが完了する。メキシコに続き2カ国目で、6カ国が国内手続きを終える必要がある発効に一歩近づく。

 法案成立を急ぐ政府・与党の念頭にあるのは、保護主義的な姿勢を強める米国だ。自由貿易の枠組みを早急に築き、自国に有利な二国間協定を求める米国の圧力をかわす狙いだ。

 とはいえ、TPPを早期発効させても、離脱した米国がTPPに復帰する道筋が描けているわけではない。国内の農業への影響を懸念する声も根強く、野党は「審議が不十分」と批判を強める。(南日慶子)

■高プロ 説明尽くさ…

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