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 震災の日の星空をプラネタリウムで再現した仙台市天文台のプログラム「星空とともに」の続編が、つくられることになった。恐怖と不安の中で、満天の星を見た被災者の様々な思いをつづり、大きな反響を呼んだ。新たなエピソードを集め、来年3月の上映を目指す。あの星空をずっと忘れないように――。

 2011年3月11日、大停電が街を覆った。夕刻からは雪が降り、空気中のほこりも洗われた。雪がやむと、信じられないほどの数の星が輝いた。

 避難場所で星空の美しさに息をのみ、記憶にとどめた被災者は少なくない。「星空とともに」は、新聞に投稿されるなどした体験記を集めて制作され、12年3月に初上映された。

 あの夜、当時小5だった名取市閖上の菊地里帆子さんは、両親と会えないまま校舎で過ごした。「不安とは裏腹にあの日の星は恐ろしいほど光って、私たちを励まし続けてくれた」

 仙台在住の作家、伊集院静さんは何日か後、こう考えるようになった。「あの夜は引き波にさらわれ、大勢の人が流木などにつかまり流れていただろう。せめて最後に美しい星を見られてよかったのかも」

 「星空とともに」への共感は広がり、全国40館以上のプラネタリウムが上映。仙台市天文台でも毎月の上映が続く。今年5月、クラウドファンディングで資金調達を達成し、「第2章」制作が決まった。

 電気が絶たれ、原発は暴走し、大きな自然の力を前にただ翻弄(ほんろう)される人間の文明。同天文台の大江宏典さん(44)は、「私たちは宇宙に浮かぶ地球という星に住んでいることを、あの星空は気づかせてくれた」と考える。「続編は、この星に生きる意味を考えるようなものにしたい」と言う。

 星空に思索を深めた精神科医、夜を徹して救助にあたった消防隊員、流された家に取り残され、数日間を星空を見て過ごした若者。数人へのインタビューをもとに番組を構成し、DVD版もつくる。(石橋英昭