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 国会の「党首討論」が27日行われ、安倍晋三首相と5人の野党党首らが1対1の論戦を繰り広げた。国会のとりきめで、討論の時間は計45分間限り。立憲民主党の枝野幸男代表と共産党の志位和夫委員長、衆院会派「無所属の会」の岡田克也代表は森友・加計(かけ)学園問題を追及。国民民主党の大塚耕平共同代表は「骨太の方針」を取り上げ、日本維新の会の片山虎之助共同代表は参院の定数を6増やす自民党案について首相の考えをただした。主なやりとりは次の通り。

立憲・枝野氏、自民の参院選挙制度改革案を批判「国民の理解得られるか」

 【立憲・枝野幸男代表】消費税を来年10月に2%引き上げて10%にする予定になっているが、予定通り実施するという考えか。

 【安倍晋三首相】経済は生き物だから、いわばリーマン・ショック級などの出来事がない限り、予定通り(引き上げを)行う考えだ。

 【枝野氏】自民党は会期末が近づいて突然、来年夏から参院の議員定数を6増やす案を提起した。(隣接する2県をあわせて一つの選挙区とする)「合区(ごうく)」対象地域の現職自民党議員の議席を守る党利党略だという指摘すらある。消費税を上げる直前に国会議員の定数を増やすことは国民の理解を得られると考えるか。

 【首相】1票の格差の問題について次の選挙までに解決しなければならないという要請がある。一方、一県に1人の代表が必要だという声も地方から強い。これが唯一無二の案であるということではない。様々な批判は承知しているが、提出をさせていただいた。

 【枝野氏】自民党の二階(俊博)幹事長が「子どもを産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考えて(いる人がいる)」と発言した。総理の認識は。

 【首相】子どもを持つか持たないか、あるいは結婚するか結婚しないか、これは、それぞれが人生において選択するべきことで、私たちがいちいち意見を言うべきではない。事実、私の家庭も残念ながら子宝には恵まれていない。二階さんの発言に私がコメントすることは適当ではないと思うが、基本的に産むか産まないかの選択は本人の選択に委ねられるべきだ。

 【枝野氏】25日の参院予算委員会で首相は米軍F15戦闘機墜落事故について中止の申し入れをしたと発言したが米軍は否定している。国会でまたうそをついたのか。

 【首相】墜落事故について米側に対し安全管理、再発防止の徹底について強く申し入れ、米側は徹底的な点検のため訓練飛行を中止したという事実を述べた。最初に申し入れを行い、結果としてそうなったということだ。(森友学園問題など枝野氏が提起した七つの問題については)すでに2分(答弁を)追加してしまったので、お答えできない。(5月30日の前回)党首討論が終わった後、枝野さんは「党首討論の歴史的な使命は終わった」と言った。まさに今のやりとりを聞いていて、本当に歴史的な使命が終わってしまったと思った。

国民・大塚氏「アベノミクスは財政健全化に寄与せず」

 【国民・大塚耕平共同代表】骨太の方針に盛り込まれた、外国人労働者の本格的受け入れ。来年4月から就労目的の在留資格を設ける、これは大転換だ。5年の在留資格で、5年が経過した後に新たな在留資格で期限を切らずに在留し、家族を呼び寄せられる。移民政策と表現する専門家もいる。首相は「これは移民政策ではない」と何度も発言しているが、首相の定義による「移民」とは何か。

 【安倍晋三首相】技能実習制度という形で(外国人材を)受け入れてきたが、本当に技能実習制度なのかという指摘もあったし、様々な問題が起こっていたのも事実。ですから正面から、就労を目的とした新たな在留資格を創設した。

 自民党は保守政党だから極めて慎重な議論があった。しかし、実際に人手不足が生じている。そこで働いている人たちの職業の確保には影響がない、同時に賃金にも影響がないようにしなければならない。国会でしっかり審議し、結論を出していただきたい。

 政府としての定義だが、移民政策とは、国民の人口に比して一定程度のスケールの外国人、およびその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策だ。そういう政策はとらない、ということだ。

 【大塚氏】財政健全化について。基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の黒字化が2020年から25年に先送りされた。景気を回復させ、税収を増やし、その税収を元に財政健全化する。そのために異常とも思える金融緩和を選択した。アベノミクスを5年やって財政健全化を5年先送りしたら、財政健全化には全く寄与しなかったと受け止めざるを得ない。1997年に政府がつくった財政構造改革法のような対応が必要だ。

 【首相】経済成長と財政健全化、両方を達成したい。経済成長なくして財政健全化はない。デフレ脱却をしなければ財政健全化はできない。(アベノミクスが)失敗しているとのご指摘もあったが、決してそんなことはない。税収は国・地方で24兆円増加しているし、国の税収も60兆円を視野に入れてきた。今日、日本銀行の資金循環統計が出たが、間違いなく国民の家計は豊かになってきている。これが消費に転じ、デフレから完全脱却し、しっかりと税収も増やしながら出るものも点検し、財政再建も行っていきたいと考えている。

共産・志位氏、首相に「あなたはきちんと答える責任がある」加計問題

 【共産・志位和夫委員長】加計学園の加計孝太郎理事長が記者会見で、愛媛県文書に明記されている2015年2月25日の安倍首相と加計理事長の面談について、事を前に進めるための学園職員の作り話だったと釈明した。到底信じがたいが、極めて重大だ。愛媛県と今治市の担当者が(当時の)柳瀬(唯夫)首相秘書官と首相官邸で面会した結果、補助金は計93億円に大幅に膨れ上がった。首相の腹心の友が経営する学園が総理の名をたびたび使い、巨額の補助金、国民の税金をかすめとっていたということではないか。

 【首相】愛媛県や今治市の補助金は県、市が主体的に判断することであり、私はあずかり知らない。

 【志位氏】首相秘書官が、県と市との面会で「死ぬほど実現したいという意識をもて」と言っている。あなたは関係ないわけではない。

 【首相】私が愛媛県や今治市に補助金をと言ったわけではないし、当時の柳瀬秘書官が補助金をつけることで意思を示したことでもない。(柳瀬氏は)相当の決意を持ってしっかりやらなければいけないという趣旨の話をしたのだろうと私は想像する。県も市も、獣医学部新設が振興にプラスになると見据えて資金を投入しようとなったのではないか。その判断は私に問われても答えようのないことだ。

 【志位氏】あなたはきちんと答える責任がある。首相の名を使って国民の税金が食い物にされる。民主主義の国家では絶対に許されるわけがない。加計氏の国会招致を強く求める。

維新・片山氏「党首討論の制度、あり方考えないと」

 【維新・片山虎之助共同代表】前回の党首討論は28日前。その前は1年半前。やり方も45分で時間内の言い合いになる。この制度を本当に育てるなら、あり方や決め方、時間を本気で考えないと。参院の定数を6増やす選挙制度改革の法案を(自民党から)ぽっと出された。一強多弱の中でのおごりではないか。

 【安倍晋三首相】議院の運営は議員がご判断されることだ。自民党が参院の選挙制度の法案を出したことは「一票の格差」問題を是正しなければいけないという我々に課せられた責任があると同時に、各県1人の代表が必要だという地方の声がある。今回の案をベストというつもりはないし、唯一無二のものだというつもりもないが、批判を覚悟で提出させていただいた。

 【片山氏】今まで我々も(選挙制度改革を)いろいろやったが、それは定数を増やさない前提でやった。合区にしたのは増員しないためだった。今回、堂々と増員を表に出してやるのは、いいのか。自民党は我慢することが必要だ。

 【首相】我々もいろいろと悩みながら、臨時的な措置としての案だと聞いている。一票の格差の是正の責任を果たさなければいけないという中での提出ということでご理解たまわりたい。

無所属の会・岡田氏「改ざん、隠蔽、廃棄、虚偽答弁。民主主義の根幹にかかわる」

 【無所属の会・岡田克也代表】前回の党首討論で、首相は「なぜ(国有地取引で)値引きされたか」「なぜ小学校として認可されたか」が森友学園問題の本質だと答弁した。それは大事だが、より重要な問題として公文書の改ざんや隠蔽(いんぺい)、廃棄、国会での虚偽答弁。これは民主主義の根幹にかかわる問題だ。

 【安倍晋三首相】決裁文書の改ざんはあってはならないことだし、行政府の長として責任を痛感している。国民の行政に対する信頼を揺るがすことになった結果について、改めておわびを申し上げたい。二度とこうしたことはないように、しっかりと対策をとっていきたい。

 【岡田氏】行政の信頼の問題というより民主主義の根幹だ。首相の発言を聞いていて、とても納得できない。「行政府の長として責任を感じている」と言うが、行政府への責任転嫁としか思えない。まるで自分が当事者じゃないかのような、対岸にいるようなものの言い方はずるい。自ら当事者だと認めるべきだ。

 【首相】私自身が改ざんをしたわけではない。私はかかわってはいないと財務省の調査でも明らかになっている。私の言い方自体がひとごとだということでは全くない。今後二度と起こらないようにしていく責任は私にあり、そういう覚悟を込めて申し上げている。

 【岡田氏】首相が(昨年2月に)私や妻が認可や国有地の払い下げに関係していれば総理大臣も国会議員を辞める、と発言し、それと矛盾のない答弁にするために改ざんや虚偽答弁をしたというのが現実ではないか。財務官僚は好きでやっているんじゃない。保身もあっただろうが、総理を守らなきゃいけないという中で次々と出てきた。首相は責任を感じていないのか。

 【首相】この問題の発端は、国有地が不正に安く払い下げられたのではないか、そこに政治の関与があったのではないか、そして学校の認可に政治的な関与があったのではないか、というのが大きな問題点だったはずだ。(財務省が文書を)削除した中で、私の妻が財務省に「進めてください」と電話をかけたわけではないし、削除する必要もまったくないものであったのではないか。

 【岡田氏】総理、良心の呵責(かしゃく)、感じませんか。あなた。そのことだけ申し上げておきたい。