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 「縣千(あがたせん)」。キラキラした名前が多い宝塚で、古風な響きで独自色を出す。「潔い名前がいいなと思って決めた。自分だけの『あがた色』を大事にしていきたい」。6月26日、雪組「凱旋門」の新人公演で、入団4年目にして初の主演を果たした。

 京都府宇治市出身。もともとバレエを習っていたが、大劇場で初めて見た宙組公演に感激し、「この場所なら自分がいかせるかも」と音楽学校の受験を決意した。最初で最後と決めた1回目の受験で合格。芸名は、本名にある「千」と、思い出深い地元の「あがた祭り」からとった。「よく『けんち』って呼ばれてました」と笑う。

 一つのことにとことん打ち込む子どもで、大好きな石ころ集めが高じて、鉱物標本を作ったり、各地の鍾乳洞に行ったり。ピアノの経験がないまま音楽学校に入ったが、毎日2時間の練習を続け、最後は自分で満足できるほど弾けるようになった。「なにごとも全力でやるタイプ。流すともやもやしちゃう」と言う。

 今回の主演もそうだ。本公演では男役30年以上の轟悠が演じるラヴィック役。聞いてすぐ台本に向かったという。轟からは「芸事のすべては見て学ぶこと」と声をかけられたといい、その姿を必死で追った。同時に、「あがた色」も出したいとの思いも抱いていた。「あがた色」というのは上級生によく言われる言葉。「自分では、何色なんでしょう?という感じ。でも、固定されたくないなという気持ちは常にあります」(尾崎千裕)