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 独り暮らしのお年寄りの孤立を防ごうと、東京都内の自治体で高齢者から困りごとや相談相手の有無などを聞いて支援につなげる事業が展開されている。生活実態を把握して、必要な福祉・介護サービスの案内や認知症患者の早期発見などの支援につなげる狙いだ。

 都在宅支援課によると、高齢者の見守りをするために職員を配置し、相談窓口を設置する補助事業を2010年度から開始。墨田や品川、国分寺など18区市町が取り組んでいる。職員が対象世帯を戸別訪問したり、地域に交流拠点を設置して高齢者に足を運んでもらい困りごとを聞き出したりするなど、取り組み方は様々だ。

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 5月10日、練馬区で独り暮らしをする91歳の女性のもとに、地元の地域包括支援センターの訪問支援員が訪ねてきた。近況を聞き、地域の催しのチラシを渡す。「気軽に行ってみて」。そう軽く声を掛けた。

 同区は4月、介護サービスを受けていない区内の独り暮らしの高齢者や高齢者だけの世帯を対象に、職員の訪問事業を始めた。対象は約2万人。介護支援にあたる区内25カ所の地域包括支援センターに社会福祉士などの資格を持つ訪問支援員を配置、高齢者の申請の有無にかかわらず自宅を戸別訪問する。

 支援員は生活状況を見て、高齢者の交流・介護予防の場として区が設置する「街かどケアカフェ」への来所を勧める。定期的な訪問が必要ならボランティアや民生委員、町会・自治会など地域と連携して見守りをする。認知機能の低下を早期に発見できる態勢づくりにも取り組む考えだ。

 昨年、区内の一部の地域でモデル事業を実施。地域から孤立していたり、近隣とトラブルを抱えていたりした高齢者について介護サービスや定期訪問などの成果を得られたことから、区全域に広げた。同区は人口約73万人、65歳以上の高齢者は約15万8千人で、そのうち独り暮らしは約5万人、高齢者のみは約3万世帯になるという。

 区高齢者支援課は「生活に課題を抱えながら適切な福祉サービスを受けていない高齢者が多くいる。戸別訪問で一人ひとりの状態を確認し、その人にあった支援や介護予防活動につなげたい」としている。

 足立区では、町会・自治会から選任された調査員による聞き取り事業を2013年に始めた。見守りに来て欲しいというニーズがあれば、地域包括支援センターから見守りボランティアが定期的に訪問する。見守りを求めなくても地域での孤立が懸念される場合は、社会福祉士らの専門職が訪ね、認知症の有無や生活困窮に陥っていないかなどを把握している。

 国分寺市は6カ所の地域包括支援センターにそれぞれ相談窓口を設置。相談員が独り暮らしの高齢者の自宅を月1回程度訪問して、元気な様子を確認する。

 近くの集会所や公民館で開かれる催しや活動を紹介して、できるだけ地域の交流の場に出てもらうよう働きかけている。その高齢者が利用する商店には様子を気にしてもらうよう依頼することもあるという。市高齢福祉課は「独り暮らしの高齢者を地域とつなげ、地域の力で支えることができるよう働きかけていきたい」としている。

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(山田知英)