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 言葉が出にくかったり、同じ音を繰り返したりする症状がある「吃音(きつおん)」。原因や治療方法がはっきり分かっておらず、人との対話に不安や悩みを抱えている人も多い。吃音についての疑問や悩みを話し合い、不安の解消につなげようと、専門家も交えた取り組みが進んでいる。

 5月の週末、千葉市中央区の市中央コミュニティセンターに、若者や言語聴覚士、学校の教員ら約30人が集まった。年3回開かれている「千葉吃音交流会」。吃音の当事者の自助グループ「NPO法人千葉言友会」の若者たちや、吃音に関心のある人たちが意見を交わした。

 千葉市の男性(29)は時折、言葉に詰まりながら、幼い頃に吃音に悩んだ体験を話し始めた。「吃音」ということも知らなかった小学生の頃は、「自分は言葉につっかかりやすいだけ」と思っていた。決まった言葉ほど出にくく、名前の最初の音などにつまりやすいという。

 緊張すると言葉に詰まりやすくなった。小中学校での授業中に教科書を読むよう言われた時。「どこを読んでいいか分かりません」。そう言って、ごまかしたこともあったという。「その場をとりつくろってきた」と振り返った。

 現在はホームページ制作会社を経営。仕事に支障が出ないよう、取引先などとの連絡はなるべくメールでする。「どもっていても良い。不得意な部分に悩むだけでなく、得意なところを考えることで前向きな生活になる」。吃音に向き合う考えをそう語った。

 交流会は県内や周辺自治体の言語聴覚士、教員らが2016年7月に立ち上げた。意見交換する吃音の当事者に交じり、専門的な支援をする目的。当初は思春期の中高校生を中心に開いたが、現在、参加者の多くは就職を控えた大学生や働き始めて間もない若者たちだという。

 交流会にこの日初めて参加した女性(25)は、会話に時間がかかってしまうことが職場の同僚に申し訳なく思い、この春に仕事を辞めたという。「どうしたらいいのか。同じ悩みを持つ人からアドバイスをもらって生活に生かしたい」と話した。

 言語病理学が専門で「日本吃音・流暢(りゅうちょう)性障害学会」理事長の長沢泰子さんによると、吃音の当事者に「気にしないで」「ゆっくり話して」などと言うのは逆効果の可能性があるという。「会話する時はゆっくり話し、聞いた内容を『○○なんだね』と確認するといった姿勢が大事」と話す。

 交流会の実行委員長で言語聴覚士の鈴木勉さん(69)は、自らも吃音の当事者。「同じ悩みを持った当事者やその家族が集まり、悩みや、吃音があってもコミュニケーションを取るコツを意見交換するのは大事。多くの人に吃音について知ってもらいたい」と言う。交流会の問い合わせは千葉言友会の事務局にメール(matsuo95@catv296.ne.jp)で。

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(上田雅文)