[PR]

(28日、日本0―1ポーランド サッカー・ワールドカップ)

 批判されるものではない。日本が試合の終盤に選択した、0―1での敗戦を受け入れた消極的にもみえるパス回しについてだ。

 最初は少し驚いた。日本が点を奪い返し、引き分ければ、他会場のセネガル―コロンビア戦の結果は関係なく、1次リーグ突破を決められたからだ。

 一方で、1点をリードされたセネガルが追いつけば、攻撃を放棄した日本は敗退に。退屈な試合、と観客のブーイングを浴びた賭けは「両刃の剣」でもあった。

 ただ、試合後の日本選手の声を聞き、やはり「あり」の一手だと確信した。ピッチ上で選手が恐れたのは、1点を奪おうと、前がかりになってポーランドの逆襲を浴びることだった。日本が2失点目を喫すると、今度はセネガルが0―1の敗戦でも勝ち上がれる。

 結果を他力に預けるリスクと、自力にこだわって自滅するリスク。てんびんにかけ、チームは前者を選択した。最も重要なのは決勝トーナメント(T)へ進む確率を上げること。MF柴崎は「何が大切か、割り切ってやった。そのために必要なプレーだった」。展開や他会場を考え、0―1で試合を締めることもまた、国際大会の戦術の一つだ。

 日本に足りないのは「ずる賢さ」――。代表を指揮した外国人監督らから、たびたび指摘されてきた。

 1993年、W杯アメリカ大会のアジア予選の最終戦で起きた「ドーハの悲劇」。勝てば初のW杯出場へ2―1とリードしながら、終了間際に追いつかれた。球をキープしたり、意図的にプレーを遅らせたり、時間を進めるしたたかさが必要だった。

 2012年。なでしこジャパンはロンドン五輪1次リーグ最終戦で、引き分けでの2位通過を狙った。その方が決勝Tで移動の負担が少なくなるとの戦略で、その通りに0―0で試合を終えた。直後は消極的だと批判された。けれども、良いコンディションを保った結果は、過去最高の銀メダル。世は賛辞を惜しまなかった。

 2018年のこの日。日本代表は、悪質な反則をしたわけでも、相手への敬意を欠いたわけでもない。着実に目的を達する、成熟した姿をみせたのだ。(藤木健

※ご使用のブラウザや回線など、利用環境により再生できない場合があります。公開期限を過ぎた場合、別の関連動画が再生されます。