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医の手帳・たばこ(1)

 たばこに火をつけてすっと吸い込むと、体の中に何種類ぐらいの化学物質が取り込まれるかご存じですか。実は、喫煙者の吸い込む煙(主流煙)には、5千種類もの化学物質が含まれています。そのうち200種類以上は有害性が確認されており、発がん物質も70種類以上含まれています。

 喫煙との関連が確実とされている病気もたくさんあります。がんの場合、煙の通り道である口腔(こうくう)、咽頭(いんとう)、喉頭(こうとう)、肺だけではありません。血液によってたばこ煙中の有害物質が全身に運ばれることから、胃、肝臓、膵臓(すいぞう)、膀胱(ぼうこう)、子宮など様々な部位のがんを引き起こします。

 がん以外にも脳卒中、虚血性心疾患、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)、糖尿病、歯周病など様々な病気の原因となっています。メンタルヘルスに関しても、うつやパニック障害は喫煙者の方が発症しやすいことがわかっています。

 さらに喫煙は美容にも大敵です。しみ、しわ、たるみ、薄毛・抜け毛の原因となります。スモーキングフェースと言われる、独特の老け顔になることもよく知られています。一方、禁煙は「我慢」から「楽に、気軽に」の時代になりました。

 なお、受動喫煙の影響も重要です。日本では、年間1万5千人以上が、受動喫煙による肺がんや虚血性心疾患などで命を落としています。乳幼児突然死症候群もそのひとつです。子どもにとっては発育・発達への影響も大きく、わずかな受動喫煙であっても計算力、読解力、理論的思考能力が低下するという研究結果もあります。

 大切な誰かの健康のために、子どもたちの明るい未来のために、たばこを吸う人も吸わない人もたばこについて一緒に考えていきましょう。

<アピタル:医の手帳>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/(新潟大学医学部保健学科 関奈緒教授)