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 全国高校野球選手権大会(夏の甲子園、朝日新聞社・日本高野連主催)のファンの思い出を紹介してきた「私と高校野球」。特別編として、全力で白球を追い続ける球児に向けて、秋田県出身で女優・モデルとして活躍する加藤夏希さん(32)に話を聞きました。

 ――2011年の春の選抜大会での大館鳳鳴―天理(奈良)戦で、ツイッター上でされた試合実況が話題になりました。普段から高校野球を見るのですか。

 「亡くなった祖母が高校野球が好きで、子どもの頃から夏休みに遊びに行ったときは、いつも観戦していました。ツイッターはそんなに見ている人がいるとは思わなくて。あの試合は、家で観戦していました。東日本大震災の直後で鳴り物応援がなく、いつもと違う空気感に包まれていたのを覚えています」

 「東北の学校は冬の練習環境が厳しい。でも選手たちは『それが原因で(負けた)』と言わない。まるで、彼らの一生懸命な練習を見てきたかのような気持ちになりました。試合後に、地元の球児から『応援ありがとうございました』って手紙を頂いて、すごく恥ずかしかったですね」

 ――学生時代の部活は。

 「中学時代は吹奏楽部でクラリネットを演奏していました。当時、肺活量を鍛えるために野球部が練習している周りを走ることがありました。普段はお調子者のクラスメートが、真面目に練習している。輝いて見えましたね」

 「甲子園での演奏は憧れでしたが、芸能活動をしつつ進んだ東京の高校には、吹奏楽部がありませんでした。甲子園では、知っているアニメソングなんかも演奏しますよね。『吹奏楽を続けていたら、私も甲子園で演奏できていたかな』という思いは、今でもあります」

 「吹奏楽は1人でも乱れると、周りも乱れる。応援の一体感を選手たちもくみ取って、より大きな一体感が生まれる。応援する人たちも主人公なんだって気持ちにさせてくれるのが、演奏の力だと思います」

 ――高校野球の魅力は。

 「1回しかない、この瞬間しかないと感じさせてくれるところだと思います。やってきたことを全力でぶつける姿には、もらい泣きをしてしまいます」

 「試合に負けると悔しいし、勝った相手に腹立たしいところがあるかと思います。でも高校野球では、負けた高校は相手にエールを送り、勝った高校はその分も背負って次の試合に臨むのがいいですね」

 ――演技の仕事と高校野球に共通点はありますか。

 「演技には正解がありません。悩みながらやった演技って、見返すと後悔しかない。思い切って『私はこれだ!』とやると、良いものになることが多い。決断するには自信が必要です。日々の努力を信じ、仲間を信じる。練習を重ねると迷いがなくなり、調子が狂ってもすぐに冷静な自分を取り戻せます」

 「『あの投手はすごい』『相手は甲子園常連校』と考えてしまうこともあると思います。でも、自分たちを見ていないと。家族や友人、地元の人らも応援してくれていると考え、緊張をほぐすのが大切です」

 ――今年の夏も観戦しますか。

 「見たいです。今までは自分の青春時代を思い返しながら見ていました。母親となった今、『子どもたちがあんなに頑張っている』と、見方が変わりつつあるんですよ」(聞き手・神野勇人)

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 かとう・なつき 1985年7月、秋田県由利本荘市出身。AB型。12歳で女優デビューし、「超新星の登場」と評される。高い演技力と好感度を兼ね備え、テレビや映画などに幅広く出演。ファッションショー「神戸コレクション」に出演するなどモデルとしても活躍。2011年に「あきた美の国大使」に任命。14年に一般男性と結婚し、16年7月に長女を出産した。

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 第100回全国高校野球選手権記念秋田大会は、11日に開幕します。

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