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 サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で、アフリカ勢が9大会ぶりに1次リーグで全て姿を消した。2002年に初出場で8強入りしたセネガル、ハリルホジッチ監督が率いた14年のアルジェリアなど、近年の大会で旋風を巻き起こしたアフリカ勢がなぜ敗れたのか。かつて世界を驚かせたようなアフリカの「ワイルドさ」が影を潜めるのが、理由の一つにも見える。

 前線からプレスをかけて、ショートカウンターで活路を見いだす。スペインを苦しめたモロッコの戦術は、欧州のチームとほぼ同じだ。監督はフランス人で、スペイン戦の先発は全員が国外でプレー。うち10人がオランダやスペインなど欧州で生まれ育った。セネガルも23人全員が「国外組」。アフリカ勢は、組織的にまとまっていたが、独特の爆発力を感じさせなかったのが寂しかった。

 「アフリカ勢の不振は、驚かない。彼らに面白いサッカーを目指す意識は薄い。良い方向に向かっていない」。アフリカの他国については知識不足としながらも、“不屈のライオン”の愛称を持つカメルーン代表で、FWとしてW杯に3度出場したロジェ・ミラ(66)はかつて、アフリカサッカーへの厳しい見方を語ってくれた。

 取材を通じて感じるのは、アフリカでは今、欧州サッカーへのあこがれが急速に進んでいることだ。インターネットなどで子どもは直接欧州サッカーを見る。脆弱(ぜいじゃく)な国内リーグに希望を見いだせず、選手は10代で欧州へ渡り、欧州のスカウトは有望な選手をアフリカで探す。

 アフリカ各国の協会主導での育成は行き届かず、フランスやベルギーなど欧州のコーチが現地でアカデミーを作って選手を育てる。欧州流の手法で育ったのがセネガルのFWマネら。戦術も欧州流を採用するチームが多くなった。そのため、型にはまらないアイデア、瞬発力、跳躍力に優れた選手の特徴を生かした戦い方が十分にできているか、というと疑問が残る。

 W杯のアフリカ勢の過去最高成績は、1990年大会のカメルーン、2002年大会のセネガル、10年大会のガーナの8強。いつか「アフリカの時代が来る」といわれた通り、歩みは遅いが、選手の質は高まっている。欧州のトップレベルで活躍する選手はまだ少ないものの、今大会はけがで苦しんだが、エジプトFWサラーのようなスターがアフリカから生まれつつある。

 今大会は、アルゼンチンを苦しめたナイジェリア、組織力を誇るセネガルなど好チームは多かった。今は、欧州流の戦術とアフリカの個性が融合するまでの過渡期なのかもしれない。希望があるからこそ、セネガルのシセ監督も、ナイジェリアのロア監督もこう語った。「将来、我々は強くなるのがわかる」(河野正樹