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 遠隔操作で動く無人電池推進船が31日、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)の専用港で試験航行した。東京海洋大と富山高専が開発した調査船で、原発の事故時、人の被曝(ひばく)を避けて海水を採取する状況などを想定した。東電は事故を起こした福島第一原発沖の調査、柏崎刈羽原発の安全対策での活用を検討する。

 「らいちょうⅠ」と名づけられた電池推進船は、全長10メートル、幅2・3メートル、重量3トン。動力源は電気自動車と同じく急速充電可能なリチウムイオン電池。40分の充電で45分間、全速(時速28キロ)航行できる。2010年、定員12人の有人船として開発されたが、福島第一原発事故後、研究チームは放射能汚染海域での調査を念頭に無人化に取り組んだ。

 試験航行した柏崎刈羽原発の専用港は、核燃料や放射性廃棄物容器の積み下ろしのため、貨物船が接岸する場所。東京海洋大の操作担当者が岸壁から無線操縦し、港内の数カ所で海水を採取する模擬試験をした。無線到達距離は1キロ以内だが、アンテナを高くすれば5キロ先も操縦可能という。

 東電は福島事故の直後、東大、三井造船と共同で無人調査船(全長6メートル、幅2・3メートル)を開発した。動力源は船舶用エンジン。福島第一原発沖で汚染された海水採取の試験航行をしたことがある。その後、本格的な運用には至っていない。

 「らいちょうⅠ」開発の中核メンバーである東京海洋大名誉教授で富山高専校長の賞雅寛而(たかまさともじ)さんは、「内燃機関に比べ、電気でモーターを動かす方が故障が少なく、精密に遠隔操作できる。排ガスで環境を汚染する心配もない」と電池推進船の長所をあげる。ただ、リチウムイオンの電池推進船は世界に30隻ほどで、運用実績に乏しい。「今回は静かな海面での試験だったが、荒れた冬場の海など厳しい条件でも試験したい」

 東電は有人船を使って年4回、柏崎刈羽原発沖で海水や海洋生物を採取し、分析結果を公表している。担当者は「事故時だけでなく、定期的な調査でも無人船が使えるかもしれない」と話す。(渥美好司)