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 第159回芥川賞に決まった高橋弘希さん(38)に、受賞のエッセーを寄せてもらった。

     ◇

 私がプロ棋士を目指していたのは、二十一歳の頃である。将棋は子供の頃から得意だったが、「ヒカルの碁」に感動した私は、自分もプロになろうと思い立ち、しかし囲碁は全く分からないので、将棋の棋士を目指した。

 二十一歳、年齢的にもぎりぎりの挑戦であった。当時の規定では、二十三歳までに奨励会に入り初段になっていないと、プロ棋士への道はほぼ鎖(とざ)されてしまう。私は将棋関連の書籍を片手に、日々、自分ならではの独自の戦術を編み出そうとしていた。高橋システムの開発である。

 そして半年の研究の末に、私は己の棋力を試そうと、東京の将棋センターを訪れた。自信はあった。子供の頃、将棋ならば誰にも負けたことはない。私は村の名人だったのだ。

 して、将棋センターの一室の座…

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