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 先月起きた女性の飛び降り自殺の現場にいたやじ馬の態度をめぐり、中国で議論が広がっている。中国では過去にも、他人への冷淡さが問題になる事件があった。心ないやじ馬たちの刑事責任を問うべきだとの声も高まっており、警察ははやし立てたり、SNSに書き込みをしたりした数人を取り調べている。

 中国メディアによると、内陸部の甘粛省慶陽市で先月20日、19歳の女性がビルの8階から飛び降り自殺しようとした。消防士が思いとどまらせようとしたが、約4時間後に落下して死亡。女性は高校時代に教師からわいせつ行為を受け、自殺未遂を繰り返していたという。

 現場には数百人が集まり、ネット上で状況を中継する人もいた。女性が落ちた瞬間の動画が拡散し、やじ馬が歓声を上げたり、笑ったりしているような場面も流れた。

 中国では過去にも事件や事故に巻き込まれた人を周囲が無視したり、助けなかったりすることが社会問題になってきた。ただ、今回は傍観にとどまらず、一部のやじ馬が楽しむような反応を見せたことに社会に衝撃が広がり、ネット上でも「なぜこれほど残酷になれるのか」と厳しい批判が相次いだ。

 ネットメディアの澎湃新聞は、かつて作家の魯迅が批判した、人の死さえ好奇の目で見る中国人の精神に言及し、「魯迅が描いたやじ馬はエスカレートしているのか」と嘆いた。国営中央テレビも「社会全体で議論しなければ」と訴えた。

 社会評論も手がける作家の李勇氏は「詐欺なども多いため今の中国では他人を信じるなという教育が当たり前。同情心が生まれず、他人の死さえ自分には関係ないという冷淡さにつながっている」と話す。(北京=延与光貞)