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 広島県尾道市出身の映画作家でがん闘病中の大林宣彦さん(80)が、戦争と広島の原爆をテーマにした新作映画の撮影に入った。約20年ぶりに故郷が主なロケ地になる。1日、市内の艮(うしとら)神社で、スタッフら約50人と撮影の安全を祈願した。映画は早ければ来春にも公開される予定だ。

 タイトルは「海辺の映画館―キネマの玉手箱―」で、自ら脚本を手がけた。「原爆投下になぜ至ったのか描きたい」と話す。閉館間近の映画館にいた若者たちがタイムスリップ。幕末の日本や中国戦線の現場で死を目の当たりにし、原爆投下直前の広島にやってくるという内容。巡演中に被爆して全滅した実在の移動演劇隊「桜隊」との出会いも描かれるという。

 終戦時に7歳だった大林さんは、自身を「敗戦少年」「平和孤児」と表現。広島の原爆を描くことを使命と考えてきたという。2年前の夏、末期の肺がんと判明し治療を続けているが、「あと30年は映画をつくる」と意欲は衰えない。撮影の安全祈願の後、「平和のために役立つことを芸術で表現したい。そのために生かされているんだという思いだ」と話した。

 大林監督の映画撮影は昨年12月に公開された「花筐(はながたみ)/HANAGATAMI」以来で、尾道市がメインのロケ地になるのは「あの、夏の日 とんでろじいちゃん」(1999年公開)以来。撮影は2日から。同市や隣の同県福山市で8月半ばまで続ける予定という。(北村哲朗)