ボール奪いに行く厳しさ、手本見せて 日本代表に注文

有料会員記事

忠鉢信一
[PR]

忠鉢信一記者の目

 ロシアでW杯が開かれている間にも、未来のW杯を目指す草の根の取り組みは進んでいます。この週末、都内各地で選抜された「トレセン」の対抗戦が開かれました。W杯は、選手にとっても、指導者にとっても、大きな影響を与える見本です。

 「トレセン」は1977年8月に始まり、全国各地で整備されました。優秀な小中学生を選抜して定期的に練習したり試合をしたりする育成制度です。発足に尽力した日本サッカー協会・元国際委員の藤田一郎さん(79)は、「当時は子供たちの将来の夢を日本代表に託せる状態ではなかった」と語っていましたが、この制度なしに日本がW杯の常連国になることはなかったでしょう。

 私は東京都内のトレセン活動に参加して4年目です。大小三つのエリアで小学生を教えています。東京・帝京高校、筑波大などでプレーし、トレセン制度を通じて年代別日本代表になった経験もあります。新聞記者の仕事を続ける傍らで、日本サッカー協会公認B級コーチの資格を取得した際、先輩の指導者から「恩返し」をするよう勧められたのがきっかけでした。

 毎年開かれるトレセンコーチの研修会で今春、守備の課題が伝達されました。日本の選手には、ボールを奪いに行く厳しさが足りないことが、国際試合の分析から浮き彫りになっていました。厳しさとは、ボールを持っている相手にどれだけ近づけるか。速さも距離もその機をうかがう力も、日本の「標準」は海外のトップレベルと比べて足りません。

 ボールを奪いに行く選手を、専門用語でファーストディフェンダー(第一守備者)と呼びますが、日本の選手は第一守備者になるとき、相手との距離を残して止まってしまい、ボールを奪いにいけていない傾向があります。

 普段の練習や試合で第一守備者の守備が厳しくなれば、攻撃の課題への要求も高くなります。逆に第一守備者の守備が甘ければ、攻撃側はシビアな技術の必要性を実感できません。地味な課題ですが、サッカー全体のレベルに関わる要素です。

 問題は、どのように相手に接近するか。やみくもに近づけば、相手に利用され、かわされます。

 昨夏、FC東京久保建英バルセロナに所属していたときのコーチが来日し、都内で会う機会がありました。そのコーチは「日本人は勤勉だと聞いたが、プロクラブの育成コーチでさえ、守備の基礎を教えていない」とあきれていました。第一守備者が相手に接近するとき、まっすぐではなく、弧を描くように近づくことが、スペインのトップレベルでは常識なのだそうです。日本の選手はそういう指導をされていないので、まっすぐに相手に向かっていき、勢いを利用してかわされないように、ある程度の距離で止まってしまいます。弧を描けば止まらずに対応できます。

 その動き方を、わかりやすく…

この記事は有料会員記事です。残り776文字有料会員になると続きをお読みいただけます。