水面すれすれ解消へ 阪神なんば線、淀川橋梁架け替え
波多野大介
阪神なんば線の淀川橋梁(きょうりょう)(大阪市、全長758メートル)の架け替え工事が今秋から始まる。「水面すれすれの橋」として知られ、線路は堤防より低い。浸水を防ぐため、桁下を約7メートル高くする。2日にあった国土交通省近畿地方整備局と大阪府・市、阪神電鉄でつくる協議会で、2032年度の完成を目指すことを決めた。
近畿地整によると、淀川橋梁は1924年に設置。海面(大阪湾の最低潮位)から橋桁まで4・28メートルで、計画堤防高に3・82メートル、計画高潮位に0・92メートル足りない。阪神なんば線の線路は両端の淀川の堤防より1・8メートル低く、高潮時は線路を横切る形で防潮扉を閉じるため、運行できなくなる。
総事業費は563億円。橋を7メートル高くし、現在39本ある橋脚を10本に減らして水を流れやすくする。橋の両側にある福駅(大阪市西淀川区)周辺と伝法駅(同市此花区)の周辺を高架化する。工事中も阪神なんば線は運行する。
現状では、防潮扉を閉鎖できずに高潮が乗り越えると、JR大阪駅まで浸水する恐れがあり、近畿地整の試算では被害総額は2兆1900億円に上るという。
架け替えは00年度に事業化が決まっていたが、周囲が住宅密集地のため着工が遅れていた。(波多野大介)
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