横浜市出身の落語家桂歌丸さんが亡くなった。同市南区在住の歌丸さんが長年にわたり名誉顧問を務め、「ハマのアメ横」とも呼ばれる横浜橋通商店街(同区)の関係者からは悼む声が上がった。3日に献花台が置かれる予定だ。

 同商店街協同組合の高橋一成理事長(67)は「20年来、名誉顧問としてお世話になった。太陽が沈んだという感じ」。家族ぐるみの付き合いで、病院の紹介などもしてきたという。

 そば屋「安楽」を営む石塚安太郎さん(76)は「私が商店街の理事長時代に、名誉顧問を引き受けてもらった。高座などで『顧問料は大福10個』なんて粋なこと言ってくれてたけど、感謝ですよ」と振り返る。テレビ番組「笑点」で、座布団10枚をためた出演者を店に連れてきたこともあったという。商店街の目の前にある公園には、歌丸さんにちなみ「歌丸桜」と名付けられてた桜がある。「歌丸桜を見た人は、思い出してほしい」と目を潤ませた。

 歌丸さんが行きつけだった理容店「ユカワ」の湯川豊さん(57)は「自分の家族が亡くなったと聞いたみたい。まだ『ウソでしょ』と思う」と話す。

 父から代替わりする前から、60年以上にわたり同店に通っていた歌丸さんが最後に来たのは今年4月上旬。自宅まで店員が迎えに行き、車いすで訪れた。いつものように、カットと髪染めで2時間ほどの来店だったという。

 今年、長年にわたり落語界で活躍する歌丸さんに「辞めたいと思ったことないの?」と尋ねると「好きでなった仕事だからそんなの一度もねえよ」と話したことが印象に残っている。「食えない時代もあったと聞いているのにすごいな思った」と振り返った。

 横浜市の林文子市長は「今は悲しい思いでいっぱい。歌丸師匠は生粋のハマっ子で、大衆芸能の普及に大変尽力していただいた。心よりご冥福をお祈りします」との談話を出した。(豊岡亮、安藤仙一朗)