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 大相撲名古屋場所(8日初日、ドルフィンズアリーナ)に横綱稀勢の里は出場するのか。出れば結果次第で進退を問われ、休めば8場所連続で年6場所制では横綱として最長休場の不名誉を被る。決断の時は迫っているが、師弟の「覚悟」はまだ固まっていない。

 3日は32歳の誕生日。稽古後、報道陣から贈られたケーキに、チョコレートで「平常心」と書き込んだ。「思うようにいかないことがたくさんあった。いろいろあるけど、平常心で場所を乗り切れれば」。出場をにおわせる言葉が出た。

 前週までは調整が遅かった。6月末の一門連合稽古では場所で対戦しない下位力士と稽古。スポーツキャスターの舞の海秀平さん(元小結)は「自信を取り戻すための稽古で、次の場所のために着々とやっている感じがした。名古屋場所は出場を見送るんじゃないか」と見ていた。本人の口も重かったのだが、7月に入って空気が一変した。

 2日、九重部屋への出稽古で白鵬と鉢合わせした。ここ1年以上稽古すらしていない「宿敵」とぶつかり合ったことが刺激になったのか。「目が覚めた気がする」と言うと、翌3日も白鵬のいる宮城野部屋を訪ね、ぶつかり稽古で先輩横綱の胸を借りた。何度も転がり背中は土で真っ黒。表情は晴れやか。「上(番付上位)とやると違う。スピードが出てきた気がする」

 ただ、けがをした左腕の状態は万全にほど遠い。実際に稽古した白鵬は、「良かったですよ」と前置きしつつ、「(出場するのが)今場所か、来場所かっていうのは……」。師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は「(出場の判断は)相談して慎重に考えたい」と話すにとどめた。

 横綱審議委員会の北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は名古屋場所の出場にこだわらない姿勢を見せ、「万全にして出てきてほしい」とメッセージを送り続けている。裏を返せば、横綱昇進後に4度もあった途中休場はもう許されないということだ。決断のリミットは2日目までの取組が編成される6日朝。稀勢の里は暑い名古屋を「勝負の場所」に選ぶのか。(鈴木健輔)

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