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 18日に選考会がある芥川賞の候補作、北条裕子さん(32)の「美しい顔」(「群像」6月号掲載)に主要な参考文献が明記されなかった問題で、出版元の講談社は3日、同社のホームページで近日中に全文を無料公開すると発表した。「甚大なダメージを受けた著者の尊厳を守るため」であり、作品の評価を「広く読者と社会に問うため」という。

 講談社は先月29日、東日本大震災の現場をルポルタージュした石井光太さんの「遺体」に類似した箇所が同作にあると明らかにし、次号の「群像」でおわびを掲載すると発表。それを受け、「遺体」の発売元である新潮社が「参考文献として記載して解決する問題ではない」とコメントしていた。

 講談社は「小説という表現形態そのものを否定するかのよう」と反論。「著作権法にかかわる盗用や剽窃(ひょうせつ)などには一切あたりません」としている。

 「遺体」と同じく参考文献とされた「3・11 慟哭の記録」(新曜社)の編者、金菱(かねびし)清さんも2日、「単なる参考文献の明示や表現の類似の問題に矮小化(わいしょうか)されない対応を、作家と出版社に望みたい」とのコメントを出した。