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中西哲生の目

 日本はすばらしい戦いだった。過去2度の決勝トーナメント1回戦はいずれも無得点。その意味では、歴史を一つ進めたと思う。

 後半に疲弊し始める中で足を動かす力になるのはゴールだ。その意味で原口の先制点は理想的な時間だった。柴崎のスルーパスを受けてそのまま打っていたら、GKが反応するタイミングと合ってファインセーブになっていたと思う。そこで切り返すふりをして、一瞬のずれをつくった。

 乾の追加点はストレート系の無回転シュート。セネガル戦同様のインカーブだと、今回は距離があったのでスピードが落ちただろう。キックの選択も含め、すばらしいゴールだった。

 だが、ベルギーは緻密(ちみつ)だった。攻撃陣を2人代え、3バックから4バックにシフト。新しく入ったフェライニに内側の位置をとらせることで、中盤で長谷部と柴崎の2人が、相手3人をみなければいけないミスマッチを生み出した。日本はポジショニングによる数的優位をつくられた中で、一気に追いつかれた。

 そして、勝ち越し点は日本のCKからの逆襲だったが、後半27分にも日本のCKからカウンターでチャンスをつくっていた。そこに弱点があると確信し、狙っていたと思う。偶然ではなく、必然の失点だった。

 日本は総じて、試合途中の本田の投入など、自分たちが攻めのカードを切った時はよかったが、逆に相手が違う手を打ってきた時に、対応と修正ができなかった。

 ベスト8まであと一歩だったが、同時に「まだまだ」でもある。世界ランク3位のベルギーに善戦して良かった、と終わるのではなく、大会前の監督交代の流れを含め、何ができて何ができなかったかを検証する必要がある。(スポーツジャーナリスト)