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(2日、ベルギー3―2日本 サッカー・ワールドカップ)

 試合を終えたピッチを見た。出番のなかったベルギー選手が走っている。彼らには明日があり、日本の居場所はもうない。改めて、負けをかみしめた。

 決勝点の前、日本のFKとCKが続いた。残り時間わずかで攻めているのは自分たち。延長がちらついたすきを突かれた。GKに直接キャッチされた本田のCKは繊細さに欠けていた。

 最先端の戦術は切りかえの速さを追い求め、「相手のセットプレーは逆襲のチャンス」と考えるまでに進んでいる。ベルギーは前半にも乾のシュートをGKが捕った瞬間に素早く逆襲に転じていた。そういう観察力があれば、防げていたかもしれない。極限状態の中での冷めた思考と細部への執着。紙一重の勝負に見えて、大きな差を感じる。

 でも、こういう痛い体験を重ねて縮めていくのだ。

 過去2度のベスト16とは景色が違う。8強進出を現実的にとらえて、1次リーグ最終戦で主力を休ませた。4年前に選手たちがとらわれた「自分たちのサッカー」という言葉も聞かなくなった。

 理想や美学に走るのではなく、より論理的に勝つ方法を探った。香川や乾が示した狭いエリアでのパス交換、俊敏性がよりどころになることも再認識できた。そのためには、走る量も質も、技術の精度も高めないといけない。なにより、粘り強く戦える気持ちの強さが不可欠だ。

 一方、2点のリードは頭のなかでは想定していても、具体的な試合の進め方となるとつたなかった。

 この一戦でトップレベルに近づいたと評価するのは短絡的だ。ただ、世界3位を瀬戸際に追い詰めて、打ち砕かれた経験を積めた。通用したことと、不足していたこと。事実に基づいて、突き詰めたい。(潮智史